「3年で年商1億円」。昨年9月にコーヒー事業への参入を表明した元テレビ朝日の竹内由恵さん。その高い目標は大きな話題を呼びました。「正直、当時はビジネスをわかっていなかった」と明かす竹内さん。しかし実際に事業をスタートした今、彼女の目には単なる絵空事ではない、新たな覚悟が宿っていました。「もっと上を目指さなければ」── そう語る真意に迫ります。

肩書きでも経験でもなく、やりたいことを選び直した

竹内由恵
25年12月に下北沢で限定オープンしたポップアップストアにはたくさんの人が竹内さんの淹れたコーヒーを飲みに訪れた

── 昨年9月にコーヒー事業への参入を宣言されました。フリーアナウンサーとして既に活躍されているなか、ゼロから起業しようと思ったのはなぜですか?

 

竹内さん:自分自身で人生の舵を切ってみたいと思ったからです。1月に40歳になりましたが、同年代の一般的な会社員の方は、自分で決断していろいろ動かせるようになってくる立場になるころだと思うんです。ところがアナウンサーの仕事は、依頼を待ち、用意していただいた箱の中で自分の役割を果たすことが期待されます。期待に沿ったことで評価してもらうことよりも、自分で決断するほうに回ってみたいと思ったことが大きかったです。

 

── なぜコーヒーだったのでしょうか?

 

竹内さん:学生時代はコーヒーが趣味と言えるほどではなかったのですが、就職後に丸山珈琲さんで初めてスペシャルティコーヒーに出合ったことが、人生で大きな転機でした。「こんなに美味しいものがあるんだ…!」と衝撃を受けて、本当に感動したんです。事業を行うと考えたときには、ずっと好きだったコーヒーのことしか思い浮かびませんでした。

 

── 実際にカフェで働いていたこともあったそうですね。

 

竹内さん:2019年に結婚したのを機に、テレビ朝日を退職して浜松へ移住しましたが、アナウンサーを辞めてからどうするか、当時はまったくプランがありませんでした。「自分がやりたいことは何かな」と考えたときにコーヒーだと思い、まずはカフェでアルバイトを始めたんです。

 

── そのころからコーヒーで起業したいと思っていたのでしょうか?

 

竹内さん:うっすらとは思っていたんですけど、覚悟というまでの気持ちはまだなくて。フリーのアナウンサーとしての仕事を始めていたこともあり、そちらでも頑張りたい気持ちがありました。だから、できる限りのペースでコーヒー焙煎を勉強したり自宅でやったりを続けるという感じでしたね。

 

── 販売しているコーヒー豆は、竹内さん自身が焙煎されているそうですね。

 

竹内さん:浜松に移住して半年後くらいから、自宅で手網焙煎や手回し焙煎をしていました。最初の道具はフリマサイトで3万円くらいで購入し、1年後くらいには勉強用に70万円ほどの小型焙煎機を買って、家で実践していました。

 

── どういったタイミングで、実際に事業として走りだすことを決めたのですか?

 

竹内さん:フリーでアナウンサーを始めてしばらくして、「このまま続けたとしても、これ以上、伸びないし活躍の場は広がらないかもしれない」と考えるようになっていました。そんななか、2024年の夏に子どもからうつった風邪をこじらせて入院したんです。ひとりでいろいろと考える時間があったことでこれまで蓄積していた考えがはっきりし、「事業を始めたほうがいい」と思えました。

 

── そこから実際に事業開始を発表するまで1年ほどですから、スピードは速かったですね。

 

竹内さん:始めようと決意してからほどなくして「いい焙煎機がある」という情報を耳にしたんです。自分が理想としているような焙煎機がちょっとお安く買えるということでした。その後は「焙煎所によさそうな場所があるよ」という話など、立て続けに情報がバーっと来るようになって。「やっぱり波が来るときは来るんだ」と思ったのを覚えています。