いまもクリスマスの命日を思い出す
── 50代になり、父として日々を過ごすようになった今、「命」というものをどんなふうにとらえていらっしゃいますか。
逸見さん:息子と向き合う時間が増えるほど、命って続いていくものなんだなと感じるようになりました。父と十分にできなかった親子のコミュニケーションを今、息子との時間のなかで少しずつ埋めているような感覚があります。父の命日は12月25日で、僕の誕生日はその前日の24日なんです。だから、今もクリスマスがくると、父のことをふと思い出しますね。
父とは多くを語り合えなかったぶん、今は息子と向き合う時間を意識して積み重ねています。息子の笑顔や夢中になること、日々の成長に寄り添いながら「自分はこの子に何を残せるだろう」と考えるようになりました。父から受け取ったもの、言葉で残せなかった想いや、背中で語った生き方。これらを、今度は僕が少しずつ息子に渡していけたらと思っています。
取材・文:西尾英子 写真:逸見太郎、オフィスいつみ