熱血指導で泣かせてしまった苦い経験も

── 水泳はお子さん3人とも生後半年から、英検はご長男が幼稚園生のときから取り組んでいるそうですが、ふりかえっていかがですか?

 

小原さん:十分泳げているのですが「もうちょっとがんばろう」と継続して、3人ともいまに至ります。そこまで真剣にやっているわけではなくても、進級試験で何か月も不合格が続くと、さすがに「よくがんばってるから、いいよ~」というわけにもいかず、どうしても合格させてあげたくなり、いろいろ言ってしまいます。

 

でも、親があれこれ言わなくても、続けていれば自然に泳げるようになるんですよね。そもそも、5〜6歳で25メートルを泳げるなんてすごいことですよ!いっぽうで、0歳から続けていても、後から入った子にタイムを抜かされることもあり、早く始めるのがいいわけでもないのかな、と思います。

 

長男せいきち君は休みの日もバッティング練習

── なんでも早い時期からという考え方もありますが、そうでないかもしれないと…。

 

小原さん:先ほど触れた英検についても、長男は幼稚園の年長から小1にかけて4級・3級に受かり、小4で準2級に合格しました。3級は中学卒業程度、準2級は高校中級なので、本当によくがんばったと思いますが、過去には私が熱血指導して泣かせてしまったこともあるんです。これはやめようと思い、次男に対しては、早くから受けさせないことにしました。次男は小2から4級、小3でそろそろ3級にとりかかろうか、という感じです。

習い事はスキルでなく生きる力を身につけてほしい

── 第1子の子育てでの経験や気づきを、下のお子さんの子育てに活かしているのですね。

 

小原さん:子育て全般的にいえることですが、下の2人は長男の後をたどるので、習い事に関しても同じ教室に通うことが多く、なじみやすいですし、長男の子育てをとおして私が加減を学んできたので、比較的、平穏に過ごしていると思います(笑)。

 

長男は初めてベビースイミングや空手に行ったとき、場の空気に怖気づいて泣いていました。でも、新しい習い事やコミュニティにひとりで入っていく経験を重ね、新しい環境への順応性を高めることができたと思います。たとえば、ゴミ拾いのボランティアに参加して、まったく知らない集団に入っていくときも、物怖じせずに周囲とすぐになじんでいます。もちろん、子どもたちには習い事を通して、技術や知識を身につけてほしいと願っていますが、順応性など「その場で生き抜く力」を結果的に身につけられたのは大きかったです。

 

── 習い事を通して、生きる力や知恵を身につけたんですね。お子さんたちにはどんなふうに育ってほしいですか?

 

小原さん:習い事自体はいつやめてもいいし、どうしても行きたくないときは休めばいいんです。それより、習い事での挑戦やがんばりをとおして、逆境に立ち向かう力を身につけてもらいたいです。人生は楽しいことばかりではなく、イヤなことやつらいことも多いですから、そんなときに役立てばいいなと思います。

 

子どもたちは、「笑顔で元気」なら十分。有名な学校への進学や父親のような野球選手、すごいと言われる人になってほしいわけではありません。期待値のハードルは、いい意味で低いかもしれませんね。

 

 

子どもの習い事を通して親としても学びが多い小原さんですが、子煩悩すぎるあまり、子どもが巣立った後の状況をいまから想像してしまい、号泣してしまうこともあるそう。でも、それでは子どもにも申し訳ないと、新たな夢や目標を立てている最中とのことでした。

 

取材・文/岡本聡子 写真提供/小原正子、株式会社ホリプロコム