登録者数200万人超のYouTubeチャンネル『とある男が授業をしてみた』を配信する教育系YouTuberの葉一(はいち)さん。小学3年生から高校生までを対象にした、わかりやすい授業動画で人気ですが、定期的に「いじめに悩む子」に向けての発信も行っています。その原点には、葉一さん自身が中学時代いじめにあった経験があって──。

当時は学校全体が「悪」にしか思えなかった

葉一
赤ちゃん時代の葉一さん

── YouTubeで子どもたちに向け教育に関する動画を配信されている葉一さんですが、幼少期はどんなお子さんだったのですか?

 

葉一さん:幼稚園のころは活発で、母親によると毎日けんかをしては、けがをして帰ってきていたそうです。でも、けがをして困ったとか、けんかばかりで大変だった記憶はないので、楽しんで過ごしていたんだと思います。ただ、卒園まで4か月という時期に、当時住んでいた埼玉から群馬に引っ越すことになって。転園予定の幼稚園を体験したのですが、ものすごく嫌で抵抗したのは覚えています。

 

── 通っていた幼稚園から離れたくなかったんですね。

 

葉一さん:母親が希望を聞き入れてくれて、卒園までの4か月間、群馬から埼玉まで往復2時間近くかけて車で送迎してくれたんです。おかげで友達と一緒に卒園することができたのですが、小学校は群馬の学校に通うことになったので、知り合いがひとりもいなくなりました。そのうち新しい友達ができて、小学生時代は平和に過ごしていました。

 

── ご自身のYouTubeでは中学時代にいじめにあったことを明かされていますよね。平和だった小学校時代を経て、その先で何があったんですか。

 

葉一さん:当時、ちょっとぽっちゃりしていたので、体型に関する嫌な言葉を投げられたり、陰口を言われたりし始めたんです。同学年のやんちゃな子になぜか目をつけられていて、その子からは2~3回、階段の上から蹴飛ばされて転げ落ちたこともあります。いじめは中学2年生のときにはじまり、卒業するまで続きました。

 

── いじめにあっていたことは、ご家族に相談されたのですか?

 

葉一さん:当時は誰にも相談しませんでした。父は仕事が忙しく、あまり家にいなかったし、母親にも相談はしないようにしていました。というのも、僕の妹が障がいを抱えていたため、母親がワンオペに近い形で子育てをして、いっぱいいっぱいなのがわかっていたんです。母とは仲がよかったのですが、私がこれ以上心配ごとを増やすのはどうなんだろうと思うと、ちょっと相談できなかったですね。

 

── 学校の先生にはどうですか?

 

葉一さん:正直なところ、特定の先生からも体型についてからかわれていたので、学校の先生に相談するという選択肢はなかったです。体育教師で、僕の体型をいじってクラスで笑いを取る先生がいたんです。そこから僕のなかで、学校の先生全体が「悪」にしか思えなくなりました。だから、親にも先生にも相談しなかったというより、できなかったという状況でしたね。