「元カレのDVの後遺症」と言われても…

── 再会以降、連絡は取るようになったんですか?

 

清人さん:連絡はちょこちょこ取るようになりました。僕は親父にずっと「お母さんを守ってあげて」と言われて育ったし、親父は人の悪口を言わない人で、ばあちゃんやおじさんが母のことを悪く言っても絶対に同調しなかったんです。幼いころ、親父に「再婚しないの?彼女いないの?」と何度か聞いたことがあったのですが、母親が生きているとわかってからは「結婚相手はお前の母親だけ」と言っていて。そういう背中を見て育ったから、母親には優しくしなくちゃいけないという意識で接するのですが、ちょいちょい不用意な発言をするんですよね、母親は。

 

── 28年ぶりの電話でおっぱいの話をしてしまうような?

 

清人さん:そうです。たとえば、母親が自分の友達と僕の話をしたと電話をかけてきて、「これだけは言わせて。あんたの芸風、何なん?友達が、私に似たらもっと人気出るのにって言ってたよ」とわざわざ伝えてくるんです。それってちょっとカチンときませんか? あなたには育ててもらってないという気持ちや、下積みして苦労しながらオーディション受けて、頑張って芸人やってきたのに、という思いもありますし。だから「今になって急にそんなことを言われても。俺が自分でここまで芸人頑張ってやってきたんだから、あんまり言わないで」と言ったら泣き出してしまって。

 

電話をきってから、母親を泣かせてしまったという罪悪感が残って、翌日「あんな言い方してごめん」とメールをしました。母親からの返信は「私こそ昨日はごめんね。あんなことを言ってしまったのは、元カレのDVの後遺症かな?」と。いやいや、急に元カレとか言われても知らんし、DVとかの情報を聞かされても困るでしょ?やっぱりちょっと変わった人だったんだなと思ってしまいます(笑)。

 

 

感動のご対面とはならなかったものの、芸人を続けてきたからこそ無事に母親との再会を果たした清人さん。お笑いコンビ・バッドボーイズの相方である佐田さんとは、高校の同級生で、暴走族仲間だったそうです。幼少期は目の不自由なおばあちゃんのお手伝いをするやさしい「きよちゃん」が暴走族に入った背景には、反抗期や「不良になりたい」という思いがあったわけではなく、「周囲への気づかい」があったといいます。仲がいい先輩や友達グループが暴走族だったというだけで、グレたつもりは全然なかったそうです。

 

取材・文/富田夏子 写真提供/清人