子どもが生まれて1週間後に父が亡くなり
── フジタさんの結婚についてもお聞かせください。フジタさんはお父さんとの再会を果たす前から婚活をしていたそうですね。今の奥さんとはマッチングアプリで知り合って結婚。お父さんにも奥さんを紹介されたとか。
フジタさん:授かり婚だったので、「順番が違うんじゃないか」みたいなことを言ってた気もしますけど、単純に喜んでくれたと思います。
── 2024年3月に第1子が誕生。どんな気持ちでしたか?
フジタさん:陣痛から出産まで12時間くらいだったのかな。やっぱり子どもが生まれてきて感動的なものはありましたよね。単純にうれしかったし、大事にしようって思いました。子どもが生まれて1週間後には、父に子どもを見せに行く予定だったんです。でもちょうど会う約束をしていた日に、「父が倒れた」と施設から連絡がありました。急いで病院に駆けつけましたが、僕が到着したときにはすでに亡くなっていました。心不全でした。子どもの誕生と父の他界、1週間でこんなことがあるんだなって思いましたね。
── お父さんが亡くなって、どんなことを思いましたか?
フジタさん:もう少し、父がちゃんとしているときに話をしたかったなって思います。認知症になってからのほうが、父と接しているので。そう考えると、父が亡くなって1年経ちますが、今でも「なんであんな人を選んじゃったんだ!」っていう怒りがずっとあります。Kくんとその母親と出会わなければ、父との関係はまた違ったと思うんですよね。でも、父はある意味、それほど好きな人に出会えたってことなんでしょうけどね。
── 今は、どんな生活をされていますか?お墓の問題もあるようですが。
フジタさん:お金の問題があり、父の遺骨はまだお墓に入れられていないんです。もともと父は金づかいが荒く、介護施設の費用もたりないぶんは僕が払っていたので。
僕自身も妻とお金の問題でトラブルになっていて、2024年12月に調停に入っています。妻は子どもを連れて実家に帰ったまま戻ってこないので、この先まだどうなるかわかりませんが、子どもにはまた会いたいなと思っています。
取材・文/松永怜 写真提供/フジタ