入籍直後に腎臓がんが発覚した藤崎マーケット・田崎佑一さん。「奥さんは俺が守る!」と思ったのも束の間、いきなり助けてもらう側に。入院が長引いて挙式も新婚旅行も当時はキャンセルせざるを得なかったそうです。(全3回中の2回)
お見舞いにきた相方に家族の空気が固まった

── 2017年にステージ1の腎臓がんが発覚した藤崎マーケットの田崎佑一さん。当時は、賞レースの真っ最中。相方のトキさんには、しばらく病気のことを伝えなかったそうですね。どんな思いがあったのでしょう?
田崎さん:ちょうどM-1の予選の最中でした。僕らはM-1を目指してコンビを組んだので、大会への思い入れが強く、「M-1が終わるまで手術はしない」と決めていました。相方は繊細で、動揺すると、もろにパフォーマンスに影響が出るタイプ。舞台でも緊張して、初っ端からコンビ名すら噛んだりするくらいなので(笑)。このタイミングで告げたら絶対ネタが飛ぶだろうなと。
結局、準々決勝で敗退し、その年の僕たちのM-1は終了しました。ようやく手術の日程を決めることができたものの、気持ちは複雑でしたね。奥さんは「やっと決まった!」と安心してましたけど。
── M-1終了後、相方さんに病気のことを打ち明けたそうですね。どんな反応でしたか?
田崎さん:手術の日程も決まったタイミングで、「じつは、話が2つあんねん」と切り出しました。
── 2つ…?
田崎さん:結婚したことを相方に言ってなかったんですよ。とくに隠していたわけではないんですが、彼女の話をしたことがなくて。なので「5年半以上つき合っていた彼女と結婚した」と伝えたら、「結婚!?彼女おったん?えっ、5年半!?」と驚いていました(笑)。でも続けて「もうひとつあんねん。じつは…がんが見つかった」と言ったら、完全にフリーズしていましたね。
── あまりの急展開に、感情が追いつかない状況だったのでしょうね。
田崎さん:いや、ほんとに漫画みたいでした。ちょうど相方がたこ焼きを食べようとしていたところだったんですが、口からポーンって飛んでいきました(笑)。1分くらい黙っていたかと思ったら「じゃあ、これで…プラマイゼロやね」と。「どこがやねん」という感じでしたけど(笑)。でも、本当に心配してくれました。