抗がん剤治療で抜け続ける髪の毛。女性にとっては深刻な問題です。ソプラノ歌手兼お笑い芸人のミッチェルさんは、抗がん剤と自分の体力を天秤にかけ、自分らしい人生の選択をします。(全3回中の2回)
抗がん剤で髪の毛が抜けて落武者のようになって
── ソプラノ歌手として活動し、吉本芸人でもあるミッチェルさん。3年前から不正出血が続き、クリニックを転々とされたそうですね。昨年1月にようやく子宮体がんだとわかり、手術をされたと伺いました。
ミッチェルさん:子宮のほか、リンパにもがんが転移していて、ステージ4bという進行した状態でした。手術をしたのは昨年3月で、子宮と卵巣、卵管、すべて摘出しています。手術後、リンパのがん治療のため、抗がん剤治療を1度受けました。そのとき髪が全部抜けてしまって。ウワサは聞いていたし、覚悟はしていたんですが…。
抗がん剤を打ち始めて2週間後、髪の毛を洗っていたら、急にごそっと抜けたんです。がんの宣告を受けたときよりショックでした。もともと髪が長かったこともあって、お風呂場はもうすごい状態に。「いまはおしゃれなカツラがあるから」と、みんな元気づけてくれるけれど、そういう問題ではないんですよね。女性にとって「髪」ってやっぱり大切じゃないですか。私自身、好きで長く伸ばしていて、アレンジも楽しんできました。それがどんどん抜けていくのを見て、もうお風呂の中で涙が止まらなくて。「うわ、きついな」って打ちのめされました。

でも、そのとき「いや待てよ、私は芸人だ。これを笑いにしなければ!」とふと思ったんです。写真を撮ってインスタグラムにあげようと考えました。でも鏡を見たら、まだ意外と髪の毛が残ってるじゃないですか。ひたいの先から後頭部まで真ん中だけがごそっと抜けた状態で、側面の髪はまだあるから、まるで落ち武者のようでした。
実際、インスタにアップしたら、「笑っていいんだか悪いんだか困る」という反応でしたね。その後も髪はどんどん抜けていき、3日目でほぼなくなりました。ただ、最後まで頑張っている髪の毛がいて、その状態だと逆に目立ってしまいます。もう腹をくくって、シェーバーで残りの髪もすべて、自分でガーッと剃ってしまいました。