病院を転々としたことも人生「後悔はありません」

── セカンドオピニオンの病院ではどんな診断がされたのでしょう?

 

ミッチェルさん:「ステージ4b」という診断は同じでした。ただ、セカンドオピニオンの先生はまず、「あなたの病状だと、手術と抗がん剤で大丈夫ですよ」と言ってくださって、その言葉で救われました。「手術をしても5年生存率は20%です。だけど、この20%になればいいんです」と、後の主治医で執刀医の先生が言ってくださったんです。同じ病気でも、こうも対応が違うものなのかと驚きでした。

 

じつはこの病院には以前かかったことがありました。私はかつて結婚していた時期があり、子どもを授かっています。でも、流産してしまって、そのときお世話になった病院でした。今回入院したのもたまたま同じ病棟で、いろいろなことがフラッシュバックしてきましたね。赤ちゃんを見るとうらやましいなと感じたり、ご夫婦で仲よくされている姿を見ると、私は一体どこで人生を間違えたんだろうと思ってしまうんです。

 

でも、やっぱりこれは自分が選んだ人生で、後悔はしていません。病院を転々としたのも、いまとなっては笑い話です。そういう意味では、お笑いをはじめてよかったなと思います。何かおかしなことがあると、コントに見えてしまうんですよね(笑)。これ「ネタになるな」と思えるし、いろいろなことがラッキーだと思えるようになるからです。いまも病気は抱えたままだけれど、前向きに生きていこうと思っています。

 

 

手術後に抗がん剤治療をスタートしたミッチェルさんでしたが、酷い副反応から歌手の仕事を休まざるをえなくなります。「これは自分の人生観と違う」、そう思ったミッチェルさんは抗がん剤治療を1回でやめ、仕事に生きる決意をしたのでした。今でもその決断に後悔はないそうです。

 

PROFILE ミッチェルさん

みっちぇる。1978年7月1日生まれ、千葉県出身。吉本興業東京NSC25期。桐朋学園大学卒業。声楽講師。学校公演700校以上。小澤征爾音楽塾にて塾生としてオペラ出演。出演歴は『火曜は全力!華大さんと千鳥くん』『いろはに千鳥』『かまいったーTV』『マクドナルド公式Twitter』『TOYOTA』など。

 

取材・文/小野寺悦子 写真提供/吉本興業