生理による出血の遅れや量を気にはしたけど、そして、不安でいくつも病院を回ったのに、病状が明らかにならない不安。ソプラノ歌手でお笑い芸人・ミッチェルさんの現実。そして、突然、言い渡された病状。彼女の胸の内は。(全3回中の1回)
原因不明の出血と痛み「演奏中に倒れた経験も」
── 現役ソプラノ歌手で、吉本芸人でもあるミッチェルさん。昨年1月に子宮体がんと宣告されたそうですが、もともと自覚症状などはあったのでしょうか。
ミッチェルさん:3年ほど前から不正出血と背中の痛みがありました。ただ、私はもともと生理が不順だったことがあって、当初は「遅れてきたのかな」と、あまり気に留めていませんでした。その後も出血量が増えていったので、産婦人科へ行きました。がんによる不正出血を疑われ、検査をしたところ、「子宮がんではありません」という診断です。
後から知ったのですが、子宮がんの検査には「子宮頸がん」と「子宮体がん」があって、私が受けたのは「子宮頸がん」の検査だけだったんです。私の知識不足もありましたが、子宮のがん検診というと、通常は「子宮頸がん」の検診で、私のほかにもそれを知らない女性は多いと思います。そのため、「子宮がんではありません」と言われ、がんではないと安心していました。
ただ、その後も出血が続いたので、別の産婦人科に行くと今度は「閉経によるホルモン分泌の乱れじゃないか」との診断でした。ホルモンの分泌を調整する薬を処方され、薬局に行くと「これ飲むと出血が増えますけど、大丈夫ですか?」と薬剤師さんに言われて、「え?」とかなり不安になりました。
そこでちょっと疑問を抱いたのですが、「お医者さんの言うことだから」と、数日は指示通り薬を飲んでいました。ただ出血が止まるわけもなく、自分の判断でその薬を飲むことはやめました。さらに泌尿器科にも行ったのですが、今度は尿管結石を疑われ、結石用の薬が処方されました。自分のなかでは「これも違うような…」という感じでしたね。ほかにも年1回の区の定期健診も受けたし、本当にあちこちのクリニックに行きましたが、原因はわからずじまいでした。

── その間、体調はいかがでしたか?仕事に影響はなかったですか?
ミッチェルさん:貧血がかなりありました。ふだんは声楽の講師をしていますが、あるとき歌を教えている最中に、ピアノを弾いていたら急にめまいがした、そのまま「バタッ」と、ピアノにつっぷしちゃって。数秒間そのままの状態だったと思います。生徒は大人の方で、私が芸人の仕事をしているのも知っていたので「ふざけて演技をしているのかな」と思ったらしいですけど(笑)。子どもの生徒さんだったらパニックになっていたかもしれないので、まだよかったですね。
その後も出血が続き、ずっと不安でした。一昨年、クリスマスコンサートに出たときは、もう大出血をしてしまって。自分でもよく倒れなかったなと思うくらいの状態でした。しかも、衣装は薄手の白いドレスです。万全の対策を取って舞台に立ちました。出番は1時間ほどでしたけど、あと少しで、ドレスに染み出てしまうところでした。