自分で寝返りを打つことすらできず

息子さん(中学時代)と団欒のひととき

──  日常生活にも影響が出ていますが、お風呂はいかがでしたか?

 

益若さん:毎回その家の奥さんに洗ってもらっていました。座ると激痛なので、浴室の手すりを持ってじっと立ったまま上からシャワーを浴びせてもらったり、シャンプーしてもらったり。私はされるがままというか、もう赤ちゃんの気持ちですよ(笑)。お風呂を出るのも大変だし、出た後もパンツまで履かせてもらってね。お風呂に毎日入れないストレスはあったけど、お風呂に入るのもひと騒動だったので、基本寝たきりで、体がかゆくなるので3日に1回くらい入れてもらいました。

 

ほかにも、しゃがむことができないので下に落ちたものが拾えないし、重いものはいっさい持てない。横になっても自分で寝返りを打つことができないので、右向きで6時間いたら、今度は左向きにゴロンと向きを変えてもらって6時間、赤ちゃんというより介護されてるみたい。横向きになっても壁をずっと見ているだけ。スマホを見ることもあるんですけど、骨折の影響で頭が少しボーッとしていて、考えることが難しくて。映画を見るのも疲労がすごかったですし、漫画や小説も読める状態じゃなかったので、頭を使わなくていいような映像とかを眺めてました。

 

── 痛み止めの薬を処方されたそうですが、薬は効きましたか?

 

益若さん:病院から6時間に1回だけ飲んでいいけど、この薬は効き目が強いので1か月しか飲んではいけないと言われる薬を飲んでいました。薬を飲んだ後はちょっと元気になって、人と話したり、ご飯も食べられるんですよ。でも薬を飲んで4時間くらい経つと、禁断症状じゃないですけど、体から薬が抜けていく感覚がわかって、早く薬が飲みたくなるんですね。今まで風邪をひいたら何も疑わずに薬を飲んでいましたが、改めて薬が体に与える影響って大きいんだなって気づいて、薬に対する考え方も少し変わりました。

 

アメリカ人の夫婦の家に1か月滞在させてもらったのち帰国しましたが、アメリカでは歩く練習を少しずつはじめたり、その都度みんながサポートしてくれて、ケガ自体はショックでしたが、人のありがたみも感じることができた1か月でした。

 

 

ケガの治療も含め、結果的に9か月の療養生活を余儀なくされた益若さん。帰国後も友達たちに助けてもらいながら、日々を過ごされたそう。今まで周りに食事を振る舞ったりしてきたことが、こうして返ってくるのだと驚きがあったそうです。

 

PROFILE 益若つばささん

ますわか・つばさ。1985年埼玉県生まれ。『Popteen』の読者モデルとしてブレイク。現在はモデル業のほか、アパレルや美容関連商品のプロデュースも行う。1児の母。

 

取材・文/松永怜 写真提供/益若つばさ