周りの声が怖くなってSNSを離れていたことも

── 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で主人公ハリー・ポッターの親友であるロン・ウィーズリー役に抜擢されたことでしょうか?新しいお仕事が入ると精神的に安心しますよね。
ひょっこりはんさん:ロングラン公演なので安心感は大きかったのですが、新しい世界に足を踏み入れた不安もありました。しっかり準備していかないと大恥かくぞと。稽古が始まるまでの数か月は、ハリポタやお芝居について勉強したりセリフを覚えたり、インプット作業に集中しました。途中から、せっかくセリフを覚えるなら家事も同時にやったらどうだろうかと。途中からセリフを覚えながら皿洗いや洗濯もしてみたら、ふたつともはかどることがわかりました。セリフも頭に入るし、苦手だった家事も習慣的にするようになって、結果的にすごくよかったです。
── 芸人と舞台の仕事、それぞれ違いや似ていると感じるところはありますか?
ひょっこりはんさん:舞台に関してはまだまだ勉強中です…。コントとお芝居は演じることは一緒だけど、コントの場合は笑いになればいいので、そこに合わせて動けるんですけど、お芝居って正解が全然わからないんですよね。「これ、うまくできてるのかな」って、何を判断材料にしたらいいのかわからないので、その難しさは感じます。
── 今後、お仕事で力を入れていきたいことはありますか?
ひょっこりはんさん:今は芸人と芝居の2つの軸ができたのでそこを頑張りつつ、芸人の仕事はもう一歩踏み込んで活動したいですね。バージョンアップというか。一時期、周りの声が怖くなってSNSを控えたり、自分の心の安定を保つためにSNSから離れていて、それ自体はいいふうに働いたんですけど、今はそれだけじゃダメだなと。次のステージにいかなきゃと思ってSNSも力を入れようとも思っています。
あと、日本だけじゃなく、海外や外国の方にも目を向けたいです。今も、日本在住の外国人の方をお客さんに呼んだライブに定期的に出させてもらっていますが、言葉がわからなくても笑いが作れるようなことを考えながらやっています。学生のころからコントがすごく好きだったし、みんなで何かを作っていく空気感も好きなんです。お芝居もひょっこりはんも、日々楽しみながらこれからも過ごせていけたらいいなと思っています。
PROFILE ひょっこりはんさん
1987年生まれ。滋賀県出身。早稲田大学卒業後、NSC東京校に入学。2013年から16年まで漫才コンビ「ダイキリ」(のちにトロフィーズに改名)として活動。18年元旦放送の「ぐるナイ おもしろ荘」出演をきっかけにブレイク。
取材・文/松永怜 写真提供/ひょっこりはん