子どもを通して自分が生き直している

友寄蓮
友寄蓮さん

── 旦那さんとは26歳の歳の差があります。育児で意見がぶつかるようなことはありますか?

 

友寄さん:家事育児に関しては「できるほうがやる」スタンスなので、特にケンカになるようなことはありません。ただ、夫は現在55歳でまわりの友人はすでに子育てが終わって、第2の人生を謳歌しているんです。同じような感覚で遊びにばかり行かれたら困るなと思い、「あなたの子育てはこれからだからね」ということは、口酸っぱく言っています(笑)。

 

夫に家事を任せるとできていないこともありますが、私自身は家事が息抜きになることもあるので、そこまで求めないようにしています。

 

── 家事が育児の息抜きになっているのですか?

 

友寄さん:実は私は掃除が大好きなんです。というのも部屋が散らかっていると私はメンタルがものすごく崩れてしまうタイプ。少しくらいホコリがあっても大丈夫と言う人もいますが、私にとってはそれがメンタルを崩す第一歩なんです。体力と精神が崩れると、私の場合は精神を回復するほうに時間がかかります。だから、どんなに疲れていても掃除だけはしっかりやるようにしていて、それが息抜きにもなるし、心を保つ秘訣にもなっています。

 

そのぶん、ほかのことはガッツリ手を抜くこともしょっちゅうで。疲れているときは食事を買ってくるし、人に会う予定がなければ自分のお風呂は3日くらい入らなくてもいいやってこともあります。

 

掃除さえできていればストレスはたまらないので、あとは家族みんなでいることができれば幸せ。趣味も読書や漫画など自宅でできることなので、リフレッシュのために外でひとりの時間を過ごしたいということもあまりないんですよね。

 

友寄蓮と家族
娘が撮ってくれていたわが家の日常

── お子さんが2人になって、子育てでなにか気をつけていることはありますか?

 

友寄さん:やっぱり上の子がさみしくならないように、フォローすることでしょうか。街で先輩ママたちがよく声をかけてくれるのですが、そのときも下の子よりも上の子のことをまずはみなさん褒めてくれるんです。私自身もそうでしたが子どもが2人いると、つい小さいほうの子どもに「かわいいね」って言いがちですよね。でもそれだと、上の子がどんどんさみしくなっちゃうんです。先輩ママたちはそれを知って上の子に配慮してくれているので、すごいなと思いました。

 

── 夫婦で子育てにおいて大切にしていることは?

 

友寄さん:言葉が話せるようになってからは、たとえばコップを差し出して「お茶」と言うだけでなく、「お茶をちょうだい」と最後まで気持ちを単語ではなく文章で伝えてもらうことにはこだわっています。今はそれくらいで、本当に子どもがそこにいてくれるだけで尊いですね。

 

子どもが生まれてから、日々がこんなに素晴らしい思い出になるということを知りました。大人になってから昆虫って見かけなくなったと思っていましたが、子どもと歩いているとたくさんの昆虫が見つかって、自分が忘れていた景色に気づかせてくれます。子どもを通して自分自身が生き直しているような気分ですね。

 

 

「子どもは自由で健康に育ってくれるだけでいい」と願う友寄さん。そのように話す背景には、小学生のころに複数のいじめにあうというつらい経験がありました。いじめはいじめる側が100%悪いし、子どもが自分で環境を変えるのは難しい、いじめられている側は決して自分を責めないでほしい、と友寄さんは訴えています。

 

PROFILE 友寄 蓮さん

ともよせ・れん。1995年生まれ、東京都出身。2010年にデビュー、2011年に白血病と診断され、1年4か月におよぶ入院生活を送る。2013年にタレント活動を再開。2021年に前小金井市長の西岡真一郎と結婚。2児の母。

取材・文/酒井明子 写真提供/友寄 蓮