夜遅くに帰っても怒らない両親に
── 高校に入ってからはどうでしたか?
でか美ちゃん:進学した津高校には県内の賢い人たちが集まってきます。そこで初めて、「自分は今まで賢いと思って生きてきたけど、賢いわけではなかったんだな」って気づかされたんです。「勉強をして研究者になりたい」など、勉強を手段としてとらえている人ばかりで驚きました。みんな勉強する目的が明確なんです。私は勉強そのものが目的だったので、勉強することに違和感を感じるようになりました。
そんなこともあって、ずっとやりたかった軽音楽部に入って、将来は音楽に関わる仕事がしたいと思うようになりました。勉強はしなくなったんですけど、高校は本当に楽しくて当時のクラスメートとはいまだに仲良しですし、大好きです。

── 高校時代も両親には何も言われなかったのですか?
でか美ちゃん:まったく言われなかったですね。音楽が好きだったので、高校生のころは名古屋にライブを観に行ったりしていました。そうすると、どうしても帰宅する時間が遅くなっちゃうんですよ。でも「外泊しないならいいよ」みたいな感じで、夜遅い外出も許されていました。よく許してくれていたなと思います。「絶対に帰ってくる」と信頼してくれていたのかなとも思います。実際、どんなに遅くなっても家には帰っていましたし、隠れて悪いことをするということもなかったです。そういう意味で、お互いに信頼関係があったんだと思います。
「健康だったらそれでいい」という理由
── 高校を卒業されてからは、どうされたんでしょうか。
でか美ちゃん:学校の先生や両親には「大学進学を視野に入れてもいいんじゃない?」みたいなことは言われましたが、当時から将来は音楽の道に進みたいと思っていました。それなら専門学校に行って、音楽の勉強をした方がいいと思い、両親に相談しました。両親はすぐに私の考えを受け入れてくれて、オープンキャンパスにもいくつかついてきてくれました。進学校だったので、大学に進学する人が90%以上。専門学校に行く人は数人くらいしかいなかったんですけど、私がやりたいということに両親は向き合ってくれて、応援してくれました。
── でか美ちゃんの意志を尊重してくれるご両親だったんですね。
でか美ちゃん:そうですね。「いい高校に行って、いい大学に行って、公務員とかになってほしい」といった期待が両親にはなかったのだと思います。私には9つ上のお兄ちゃんがいるのですが、高校生のころ、ちょうどお兄ちゃんが体調を崩して入院していた時期だったので、「元気だったらそれでいい」という考えだったのかもしれません。