乳がん発覚後髪色をピンクに

須藤みゆき、須藤弥勒
無事退院!

── 現在は定期的に検査をしながらホルモン治療を続けているのですね。

 

須藤さん:1か月に1回通院して、血液検査やMRIを受け、ホルモン治療の薬をもらっています。がんになってから食が細くなっているので、とにかく休んでたくさん食べられるようにと、それまで家事をほとんどしたことがなかった夫が、手術後は料理や洗濯をしてくれるようになりました。

 

── ホルモン治療の副作用を感じることはあるのですか?

 

須藤さん:夜中にホットフラッシュが起こって眠れないときがあります。また、ホルモン治療の薬を飲み続けると子宮体がんのリスクが高まると言われているので、子宮の検診も欠かさず行っています。日中にめまいがして立っていられなくなるときがありますが、弥勒のキャディーを私が担当しているため、体力や筋力をつけるようにしています。

 

── 乳がんの発覚前後で精神面での変化はありましたか?

 

須藤さん:やりたいことを先延ばしにせず、すぐにやろうと思うようになりました。髪色をピンクにしたのも乳がんになったのがきっかけです。4年前にイギリスを訪れた際、地下鉄で髪色も洋服も全身ピンクのおばあちゃまに会って、すごくかわいらしかったんです。その方に「どうやってそんなにきれいなピンクにしているの?」と聞いたら、髪をピンク染めるやり方を教えてくれて。いつかやりたいと思っていたのを実行しました。抗がん剤治療の可能性もあったので、「髪の毛が抜ける前に好きな髪色にして、ファッションも好きなものを着よう!」と決めたんです。好きなものに囲まれたほうが気持ちも明るくなりますし。

 

夫は実家がお寺で僧侶の家系ということもあり、もともと死生観がはっきりしている人でしたが、私も乳がんを経て、人はいつ死ぬかわからないという思いを強くしました。子どもたちにも、いつ何が起こるかわからないから、今を精一杯生きなくてはいけないという話をしています。手術後の人生は神さまからのプレゼントだと思って、家族のためにできることを目いっぱいやっていきたいです。

 

須藤みゆき
須藤みゆきさん

 

PROFILE 須藤みゆきさん

すとう・みゆき。1972年群馬県生まれ。2歳でピアノを弾き始め、武蔵野音楽大学を卒業してピアニストに。小学3年生から始めたフィギュアスケートでは2度の国体出場も果たす。3人の子どもを育て、長女の弥勒さん(13歳)は昨年、全日本女子プロゴルフのツアーデビュー戦に出場。

取材・文/富田夏子 写真提供/須藤みゆき