史上初のジュニア世界大会4冠を制覇し、天才ゴルフ少女と呼ばれる須藤弥勒選手のキャディーを務める母親のみゆきさん。2023年には乳がんが見つかり、右胸を全摘出されたそうです。病気を乗り越え、みゆきさんが娘に、家族に対して抱いた想いとは?(全2回中の1回)
胸にしこりを発見して右胸を全摘出

── 天才ゴルフ少女として有名な須藤弥勒選手。お父さまがコーチ、お母さまのみゆきさんがキャディーを務め、長年テレビ番組の密着取材を受けるなど、家族一丸となってゴルフに取り組んでいらっしゃいますね。
須藤さん:弥勒は1歳半のときにゴルフを始め、おかげさまで昨年の夏、13歳でプロツアーデビューを果たしました。私はキャディーとしてほとんどのツアーを一緒に回ってきましたが、プロツアーデビューを目前に乳がんが発覚し、一時はデビュー戦に同行できないかと思いました。
── デビュー戦前のタイミングで…乳がんの治療はどのようにされたのですか?
須藤さん:手術で右胸を全摘出しました。本当は温存できたのですが、温存手術だとその後1か月間放射線治療を受け続けなくてはならず、半年後のプロツアーデビュー戦までに体調が回復するか心配でした。当時弥勒は12歳で、長男14歳、次男7歳。子育てもまだまだこれからですし、夫も「不安要素が残るよりは摘出したほうがいい」という意見だったので、全摘出することにしました。

── 発覚当時のことを教えてください。
須藤さん:ちょうど2年前、2023年の3月のことです。家族で出かけた帰り、車の後部座席で伸びをした後ふっと胸に手を置いたら、右胸にしこりがあるのに気がつきました。その少し前に郵便局に行った際、おっぱいの形をした乳がん発見のための模型が置いてあり、末っ子としこりのモデルに触れていたんです。模型のサイズよりは小さかったけれど、そのときの感触と同じようなしこりが自分の胸にありました。これは怪しいと思ってその場で病院を予約し、翌日に検査に行きました。病院の先生は触っただけで「この腫瘍の形は乳がんだ」とわかったらしく、生検(乳房のしこりから組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)をしたうえで乳がんが確定しました。腫瘍のサイズは8mm、ステージ1でした。抗がん剤治療をするか、手術をするかの瀬戸際の数値だったようです。
── 早く気づいたとはいえ、ショックですよね。
須藤さん:40代でもがんになるんだ…と、ショックどころではありませんでした。もしほかに転移していたら、末っ子はまだ7歳なのにどうなるんだろう、と心配でたまりませんでした。早く手術をしたほうがいいということで、その2週間後には右胸を全摘出する手術をしました。