「お金があるから楽しめる」という考え方の裏返しとして、「お金がないから楽しみは得られない」というのは真理でしょうか。FP2級の資格を持つザブングル加藤さんの日常は、自分が持つお金について考えさせられるものでした。(全4回中の3回)
スマホ代や交通費…浮いたお金はiDeCoに回す
── 2023年にファイナンシャルプランナー2級を取得しましたね。お金についての著書(『月末に預金通帳を見るのが楽しくなる!手取り20万円台からはじめる3000万円貯金術大全』)では、節約や貯金について、こだわりの方法が紹介されています。もともと数字に強かったり、お金の管理が得意なタイプだったのですか?

加藤さん:いえ、そういうわけではなかったですね。若手のころは特に、お笑いのことしか頭になかったので、お金のことはあと回しでした。でも仕事が多少もらえるようになり、その後、家族ができて家を買ったりすると、お金の問題が自分ごとになって「ちゃんと学んだほうがよさそうだな」と感じるように。僕ら芸人は、ほとんどの場合、事務所に所属していても個人事業主なので、保険や年金は自分で払うし、確定申告もしなくてはいけません。FP資格の勉強では税金や保険、年金、不動産、相続税など人生のなかで必要なお金の知識を幅広く学べるので、ニュースを見ていても「なるほど、こういうことだったのか」と、理解できるようになりましたね。
── 学びを深めるなかで、お金の使い方や考え方に変化はありましたか?
加藤さん:僕のなかではいま「3つの仕事をしている」と思っているんです。1つ目がお笑いで、2つ目が消防設備士としての仕事、そして3つ目が「節約」です。2つ目までは働いて得るお金ですが、節約は、日々の工夫と努力で「浮いたお金」を副収入とみなしているんです。仕事のつもりで節約に励み、浮いたお金を全部iDeCoに入れて運用しています。ざっくりですが、生活の中で月に5万円ぶんぐらいは節約できている計算です。
── たとえばどんな節約を?
加藤さん:多少なら遠い場所でも、電車を使わずに徒歩か自転車で移動して交通費を浮かす。2、3時間くらいなら平気で歩きますね。タクシーも使いません。たとえば、歩いて1時間の距離をタクシーで移動すると大体2500円ほどかかりますが、タクシーに乗らずに歩けば時給2500円。そうやってお金に換算するクセをつけています。時間がムダになるのでは?と思われるかもしれませんが、トレーニングも兼ねるので時間の節約にもなるという考えです。
自宅はWi-Fiを契約していますが、携帯は格安スマホで月980円。UQモバイルのいちばん安いプランです。月に3ギガしか使えないのでYouTubeを見たら一瞬で終わってしまうけれど、節約モードを使えばUQモバイルの場合、ギガをいっさい使わずにネットが見られます。ただし、かなり速度は落ちますが(笑)。ギガを使うのは、仕事に行くときにグーグルマップで行き先を確認するときくらいだから、月3ギガで十分です。

自宅の電気の契約アンペアも下げました。もともと50アンペアで、基本料金が1500円ほどかかっていたところを30アンペアに変更し約900円に。これだけでも年間で約7000円の節約になります。最初のころは、ブレーカーが落ちてしまうことが何度かありましたが、だんだん慣れてくるもの。電子レンジを使うときは、家族の誰かが別の家電を使っていないか確認したり、声をかけあいます。
特売狙ってスーパーをはしご「単純に楽しい」
── 徹底されてますね。買い物にもコツが?
加藤さん:三軒茶屋に住んでいるのですが、近くにスーパーがたくさんあって、同じ商品でも値段が違ったりするんですね。「この商品ならここが安い」といったスーパーごとの特徴を把握して特売品をチェックし、安い商品を求めて自転車でスーパーをはしごします。人によっては「そんなことに時間をかけるのは逆にコスパが悪いのでは?」と、思われるかもしれませんが、好きなんですよね、いろんなスーパーを見て回るのが。単純に楽しいからやっているというのもあります。

── 持ち前の好奇心と行動力で、何事もポジティブに楽しんでいらっしゃいますよね。
加藤さん:何事も捉え方次第だと思うんです。「これってめんどうくさいな」とイヤイヤやるより、自分が楽しめるポイントを見つけて取り組む。そもそも日本という国に生まれただけでも、ずいぶん幸せだと思うんです。