作業はハードというより「適度な運動」になる
── 消火器にいろんな種類があるなんて、知りませんでした。
加藤さん:僕もそうでした。その後、さらに講習を受けて、点検資格者1種・2種を取り、晴れて消防設備の仕事ができるようになりました。たとえば、天井に煙の探知機がある部屋だと、実際に煙を出して稼働するかどうか確認します。こうした設備は、建物内の各部屋だけでなく、廊下やトイレなどにもあるので、大きなビルだとものすごい数に。タワーマンションだと5人体制のチームにわかれて、1週間ほどかけて行います。
この仕事を始めてから、プライベートでもオフィスビルや商業施設に行くと、消防設備が目に入るようになりました。ビジネスホテルに泊まったときも、まず避難経路をチェック。「もしも火災が起きたらどう逃げればいいか」と考えてしまう。一種の職業病ですね(笑)。
── 体力的にはハードな仕事なのですか?
加藤さん:いえ、建設現場や引っ越しのバイトのように体力を使う作業ではないので、キツい仕事ではないんです。いろんなビルを回ったりして移動は多いですが、僕としては、ほどよい運動という感じ。女性の少ない職場ですが、体力はさほど必要ではないし、危険な仕事でもないので、女性にも向いていると思います。女子寮など女性専用の場所も多いので、参入する方が増えるといいですよね。

── 意外でした。てっきりご自慢の筋肉を活かした副業なのかと。
加藤さん:僕としてはスポーツジムに行くような感覚で消防設備の仕事に行っていますね。マンションの点検ではエレベーターを使わず、できるだけ階段を上り下りしたり、消火器を運ぶときも「ダンベル」だと思って、筋肉を意識して運んだり。筋トレ感覚です。適度な運動になるから健康にもいいし、いろんな場所に行くので、気分転換にもなる。遠方でのビル点検の日なんて、ちょっとした地方ロケに行っているような気分で「さあ皆さん、今日はこのマンションにやってきましたよ!」みたいな感覚で楽しんでいます(笑)。