夢を諦めかけたとき妻から「バカじゃないの!」と叱られ

── 学びの多い、貴重な経験をされたのですね。でも、それまでは奥さまが家事と育児を一手に引き受け、木山さんの夢を応援されていたと。

 

木山さん:そうですね。僕が夢に向かって頑張ることについて、妻からは一度も反対されたことがなくて。本当に感謝しています。それに、甲状腺がんの手術が成功して、歌手になるためにオーディション番組『歌スタ‼』に挑戦したときも励ましてくれました。1回目に不合格になり2回目に挑戦するという段になり、ひよって諦めそうになったときは、駅のホームで怒鳴られましたが(笑)。

 

木山裕策
現在は仕事で全国各地を飛び回る日々。こちらは岡山県・倉敷市での一枚

── 落ち込んでいるところに奥さまから怒鳴られてしまったとは…。

 

木山さん:1回目の不合格が出て、番組終了後、僕が歌った『home』を作詞・作曲してくれた音楽プロデューサーの多胡邦夫さんが、「なんとしてもこの曲を世に送り出したいから、もう一回チャレンジしたい」って言ってくれたんですね。でも、僕は「心苦しいです」って一度断った。一度不合格になったらそこで終わりというルールもあったので、2回目なんて無理だと思い込んでいて。

 

そうしたら、家族で帰りの電車を待っていたとき、妻が「バカじゃないの!?」って怒り出したんです。「せっかく多胡さんが再チャレンジしたいって言ってくれたのに、なぜ断るの?本当に夢を叶えたいんだったら、食らいつくんじゃないの?気持ちが中途半端だから、レコード会社の人にも見透かされたんじゃないの?」って。心が折れている僕を妻は容赦なく責めてきましたね(笑)。

 

結局、2回目に挑戦して合格する姿を子どもたちに見せることができましたが、妻は「いい歳をして歌手なんて」などと世間体を気にしたりもしない。すごくありがたい存在です。