35歳で甲状腺がんに罹患したことをきっかけに、夢だった歌手デビューを39歳で果たした木山裕策さん。27歳で結婚してから木山さんを支え続けた奥さまは、もともと夢を応援し合う仲間だったそうです。(全4回中の4回)

10年のブランクも…社会復帰しキャリアアップを叶えた妻

── 歌手デビューから17年間、常にご家族優先で、約5年前に独立される前までは12年間、家族を養うために会社員生活とも両立されていました。そんな木山さんと一緒に歩んでこられた奥さまとの出会いについて教えてください。

 

木山さん:実は僕、学生時代は物書きになりたいと思っていて。そのために大阪から上京して、都内にあるシナリオライターの専門学校に通っていたんですけど、妻は同じ夢を持ったクラスメイトでした。27歳で彼女と結婚し、すぐに子どもに恵まれて。物書きの夢はいったん諦め、28歳でリクルートに入社しました。

 

木山裕策と家族
四男のお宮参りの記念に。現在、子どもたちは4人とも社会人になったそう

結婚後、妻はしばらく専業主婦でした。本人はできれば早く社会復帰したいと思っていたようなのですが、4人の子を出産し育てるなかで、タイミングが難しくて。結局、四男が年長のころから働きに出始めました。10年ほどブランクがあったので、最初はアルバイトから始めて。今は、国立市の「くにたち男女参画ステーション」でステーション長としてバリバリ働いています。本当によく頑張ったなぁと思います。

 

── 4人のお子さんを育てながらのキャリアアップは、並大抵の努力ではなかったと思います。

 

木山さん:妻の社会復帰を通して、日本で女性の社会復帰がどんなに厳しいか、しみじみ感じました。彼女が社会復帰した1年目に僕は会社を辞めて、1年間主夫をしていたんです。毎日、掃除、洗濯、料理など、家事は全部僕が担当して。家事も子育てもひと通りやったので、自分ですべてできるようになりました。

 

ただ、当時は「子育てと家事をなめてた」と痛感していましたね(苦笑)。今や「男性育休」とか「イクメン」といった言葉がひとり歩きしているように思いますが、それって本気でやったことがない人が言ってるんじゃないかな。だって、本気で家事と育児をしたら、そんな安易な言葉では言い表せないから。