自分が情報を発信する意味が見つかった

── メイク動画はフォロワーさんからも反響が大きいですよね。熱いコメントがたくさん集まっているように思います。

 

西本さん:「自分も同じ病気で悩んでいるので参考になります」とか「自分にはコンプレックスがあったけど、動画を見て元気が出ました」とか、たくさんコメントをいただきます。「家族が突発性尋常性白斑で、西本さんの動画を見せて一緒にがんばろうって言ってます」と言ってくださる方もいて、僕自身もすごく励まされています。

 

── ますます前向きな発信が増えそうですね。

 

西本さん:突発性尋常性白斑になったことで、同じ悩みを持つフォロワーさんとつながれたことがとてもありがたいです。自分がコンテンツを発信する意味を見つけられたのも大きいですね。何より、コスメやメイクの楽しさを純粋に感じています。

 

── すてきです。

 

西本さん:今までも、コンシーラーで顔のアラをちょっと隠したりはしていたんですけど、突発性尋常性白斑をきっかけにメイクの技術を身につけたので、堂々とメイクができるようになりました。突発性尋常性白斑を隠しつつ、もともと気になっていた鼻周りの赤みが消えて、肌もきれいに見せられるのが最高ですね!

 

西本たける
メイク動画を通して、自分が発信する意味を見つけた

── メイクをするようになって、変化したことはありますか。

 

西本さん:あります。「デートの食事代は割り勘でいいのか?」っていう論争がよく起きますよね。そういうとき、「女性は服やメイクに時間とお金がかかっているから、そのぶん食事代は男性が払うべきだ」という意見が出ます。今まではそのような意見を聞いてもピンとこなかったんですけど、自分でコスメを買うようになってから、その意見もわからなくもないなって思うようになりました。コスメって、高くないですか!?

 

── 高いです(笑)。

 

西本さん:しかも、調べれば調べるほどいいコスメに出会ってしまうから、どんどん欲しくなります。でも、コスメってそんなに簡単に使いきらないじゃないですか。余ったコスメをどうしようか迷っちゃうんですよね。今、手元にファンデーションが3本あるんですけど、やっぱりお気に入りのものばかり使っちゃうので、どうしても残っちゃうんです。

 

── コスメの悩み、あるあるですね。

 

西本さん:そうなんですよ!あとは、酔っ払っても化粧を落とさないと寝られないっていう大変さを、身をもって知りましたね。メイクは楽しいけど、面倒なこともあります。今いちばん悩んでるのは、服を脱いだり着たりするときに、服の襟にファンデーションがついちゃう問題です。これ、白斑よりも悩んでます(笑)。白いパーカーなんて着た日には、パーカーにファンデーションがついちゃって、ちょっと洗濯したくらいじゃ落ちないんですよ。

 

── メイクを日常的にしないとわからない困りごともありますよね。

 

西本さん:自分がメイクをすることで、いろんな世界を知ることができました。メイクの楽しさや企業の努力、プロの技も学びましたし、メイクを通してつながった方もたくさんいます。そう考えると、やっぱり突発性尋常性白斑は面倒くさい病気ではありますけど、前向きに取り組める病気でもあるんです。これからもSNSでたくさん発信して、同じ病気で悩んでいる方や、見た目に困っている方に有益でポジティブな情報を届けていきたいと思っています。

 

PROFILE 西本たけるさん

にしもと・たける。吉本興業所属のお笑いトリオ「スーパーサイズ・ミー」のメンバー。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも出演するなど、俳優としても活躍。2024年8月に、突発性尋常性白斑であることを公表。

 

取材・文/大夏えい 写真提供/西本たける