「群発頭痛」に苦しんだ20代

── SNSでメイク動画を公開されていますが、どれもかなりポジティブで驚きました。

 

西本さん:それはいろんな方からよく言われます。病気を公表したときも、フォロワーさんから「明るすぎる」というコメントがたくさん届きました(笑)。

 

西本たける
メイク動画をSNSで配信している

── そのポジティブさはどこからきているんでしょうか?

 

西本さん:もともとの性格もあるんでしょうけど、突発性尋常性白斑の症状が「色素が抜ける」以外に何もない、というのはすごく大きいです。色が白くなるだけで、痛みもかゆみもなくて、本当に健康なんですよ。

 

── 見た目が変化していくのは、精神的につらいイメージがあります。

 

西本さん:それは、メイクでどうにかできるという気持ちですね。それよりも、健康でいられることが本当にありがたいです。僕は大学4年生から28歳ごろまで「群発頭痛」という疾患を抱えていたんですよ。これも原因不明で、突然発症した病気なんです。

 

── どのような病気なのでしょうか?

 

西本さん:季節性のもので、僕の場合、毎年冬になると激しい頭痛に突然、襲われるんです。30分で終わることもあれば、7、8時間続くこともあって。いつなるかわからないし、一度始まると、うなるほど痛くて動けなくなったり、吐いたりすることもありました。当時はまだバイトをしてたんですけど、いつ頭痛になるかと常に不安でした。頭痛になると立っていられなくなるので、バイトを休んだり、横になったりしてました。

 

── 頭痛が出たら日常生活ができなくなる、というのは心も体も休まらないですね。

 

西本さん:そうなんです。1日に何回も症状が出ることもありました。仕事ができないし、電車にも乗れなかったんです。この病気が治らなかったらどうしようって、未来への不安を抱えていました。そのときはさすがにかなり落ち込んで、暗い気持ちになってましたね。

 

── 群発頭痛は治ったんでしょうか。

 

西本さん:はい。いろんな人に相談して治療法を探していくうちに、僕に合った治療法が偶然見つかって治りました。今は突然頭痛に悩まされることもなく、健康に過ごしています。だから、突発性尋常性白斑は大変な病気ではあるんですが、痛みもなく健康に影響もないだけで、僕にとってはありがたいという気持ちなんです。

 

 

突発性尋常性白斑を発症した経緯をポジティブに語ってくれた西本さん。見た目をカバーするために始めたメイクにもハマり、新たな世界も広がったそうです。

 

PROFILE 西本たけるさん

にしもと・たける。吉本興業所属のお笑いトリオ「スーパーサイズ・ミー」のメンバー。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも出演するなど、俳優としても活躍。2024年8月に、突発性尋常性白斑であることを公表。

 

取材・文/大夏えい 写真提供/西本たける