病気について発信するのは神様が与えた役割

── 2020年1月に自家移植入院。退院後、仕事復帰したときはどのような気持ちでしたか?

 

えみりィーさん: 入院中は、仕事復帰が生きる希望であり、目標にしてがんばって治療していたのですが、ちょうどコロナ禍で仕事復帰が遮られました。そのうえ、私はフリーランスなので、仕事をしないと収入もなくなるので、とても困りました。

 

その後、同年7月の豪雨で出身地の熊本県芦北(あしきた)町が大きな被害を受けたんです。私はあしきた親善大使を務めているので、地元を手伝いに行きたかったのですが、病気で骨が折れやすく重いものを持てない身体でできることがあるのだろうか、荷物も運べない、泥出しもできないと…悩みました。何もしないのはイヤだったので、救援物資を届けたり、炊き出しや災害復興のためのTシャツを作って販売などをしました。

 

── 歯がゆい思いをされたんですね。病気で折れやすくなった骨は、いまはどのような状態ですか?

 

えみりィーさん:自家移植を終えて、骨が再生してきたので、重いものも徐々に持てるようになりました。じつは、この病気は年配の男性がなりやすい病気だそうです。高齢だとドナーからの移植が難しかったり、骨折が治りにくくて生活に支障が出ることもあるそうです。

 

芸能人では宮川花子さんが同じ「多発性骨髄腫」で、車いすで舞台に出てらっしゃいます。宮川大助さんが車いすを押す姿を見て、私はすごく感動して。おふたりが舞台に立つときは立場を入れ替え、大助さんが車いすに乗り、花子さんが車いすを押して、笑いに変えて登場することもあります。花子さんが立って歩く姿からは、「病気に負けない!」強い意志を感じ、元気をもらいました。舞台に出る人たちはいろんな人に力を与えてくれます。

 

病気は違いますが、私と同じ時期に競泳選手の池江璃花子さんも病気がわかり、親近感をもっていたので、彼女のオリンピック出場を見て、私も何かをあきらめるのではなく、もとの目標に立ち向かおう、と大きな勇気をもらいました。

 

えみりィー
福岡と熊本を中心にテレビレポーターやラジオパーソナリティ、モデルとして活躍するえみりィーさん

── 病気を公表したり、闘病しながら活躍する有名人も増えています。テレビの影響力は大きいですね。

 

えみりィーさん: 長期入院前に、「これから療養に入ります」とテレビでお知らせしたら、「テレビでは元気だから、そんなこと微塵も感じなかった」「戻ってくるのを待ってるよ」と、視聴者からたくさん温かいメッセージをもらいました。自分もですが、病気のときは本当にふさぎがちで、それでも強がって「大丈夫」って言ってしまいがちです。でも、1回でも本当のことを伝えられれば、まわりに頼れるようになり、気持ちもラクになる気がします。病気だけどこうして笑顔で仕事をして、遠慮せずにテレビに出てますよ、というのを見てほしくて、インスタやブログで発信してきました。

 

私が治療経過などの発信をすることによって、当時の私のように「ひとりじゃない」と感じてくださる方がいるかもしれません。こうしてテレビの仕事をさせていただいているわけですし、病気について発信するのは神様から与えられた役割なのかな、と思います。