結婚20年を迎えても妻の姿に見惚れて写真を撮ってしまうというつるの剛士さん。夫婦で5人のお子さんを育てているなか、子どもとの向き合い方で心がけていることがあるそうで。(全4回中の3回)

恋愛についてもオープンに話す娘

つるの剛士と長女、次女
左からつるのさん、18歳のときの長女(現在19歳)、15歳の次女

── 20歳から8歳まで、5人のお子さんを育てるつるのさん。子どもたちと向き合うときに心がけてきたことはありますか?

 

つるのさん:つねに意識してきたのは「心配するよりも信頼すること」ですね。親だから、どうしたって子どものことをあれこれ考えてしまうものだけど、心配してもキリがない。不安や悩みは尽きないけれど、それよりも子どものことを信頼して、彼らの生きる力を信じたいなと思っていて。子どもたちが自分で決めた道を全力で応援しようと決めています。

 

それに、「自分は信頼されているんだ」と感じることで、「それなら悪いことはできないな」と、みずからの行動に責任を持ってくれるのではないかと、勝手に思っているんです。実際、僕自身が親にそういうふうに育てられてきたのも大きいですね。とくに父親は、身をもってそれを教えてくれました。

 

── そうなのですね。印象に残っている出来事はありますか?

 

つるのさん:今でも忘れられないのが、高校生のころ、父親から誕生日プレゼントに十徳ナイフをもらったことですね。普通の親なら、きっと「危ないから」とまだ学生の息子に刃物なんて持たせないと思うんですよ。でも、子どものころからアウトドア好きで、道具にも興味があった僕のために、あえて十徳ナイフを選んで託してくれた。

 

「ああ、自分は親から信用されているんだな。大人として認めてもらえたんだ」と感じて、すごくうれしかったし、誇らしかったことを覚えています。だから、父の信頼を裏切らないように、危ない使い方だけは絶対にしないと心に誓ったんです。

 

そうした実体験があるので、危ないことを親がすべて排除したり、禁じるのではなく、子どもを信じて任せることも成長の過程においては大事だなと思っているんです。

 

── お父さんの思いがつるのさんにも引き継がれているんですね。

 

つるのさん:ただ、子育てに正解はありませんから「あくまでうちの場合はそうしている」というだけです。どこの親御さんも、みなさんそれぞれ子どものことを考えながら、懸命に子育てと向きあっていらっしゃると思います。それぞれの家庭によって事情も違いますし、子どもの個性もありますから、自分たちのベターを見つけていくのがいちばんいいんじゃないかなと思いますね。

 

── インスタグラムを見ていても、ご家族への愛情表現がストレートですよね。

 

つるのさん:感じたことや思いはきちんと言葉や態度で表すタイプですね。子どもにも日ごろから、「パパとママはきみたちのことを信用しているからね」と伝えています。だから、大学生の長女が、遊びに行って帰りが遅くなっても全然心配していないし、「今どこにいるんだ?」などと、いちいち詮索したりすることはないですね。若いころは一度きりだから楽しく過ごしてほしいですし。

 

ただ、何も声をかけないわけじゃなくて、ひと言連絡を入れて「大丈夫だったらいいよ、気をつけてね」とだけ伝えるようにしてきました。そうすることで、放置されているのではなく、ちゃんと見守られているんだという安心感をもってもらえるんじゃないかなと。恋愛についてもオープンに話してくれますね。