「あのオーディションに呼ばれなければ」「2年連続で同じスタッフに会わなければ」。運が運を呼ぶめぐり合わせで大ブレイクしたアキラ100%さん。そのインパクトある芸名ですらも、偶然の産物だったそう。人生の岐路はどこにあるのかわかりません。(全4回中の2回)
転機で披露した「お盆芸」は5年ぶりだった
── アキラ100%さんがブレイクしたきっかけは、代名詞とも言える「お盆芸」でした。
アキラ100%さん:あのネタでブレイクするとは、自分でもまったく想定していなかったです。もともとはコンビでコントをやっていた時代に、単独ライブで披露していたネタの一部だったんですよ。変わった喫茶店が次々と出てくるショートコントがありまして、最後に「ナチュラル」というお店が出てくるんです。「オーガニックにこだわっているのかな」と思って入ってみたら、僕が裸でお盆で前を隠して出てきて、相方が「そのナチュラルかい!」とつっこんで終わるというネタでした。
そうしたら裸のシーンが異常にウケまして。それならと「喫茶ナチュラル」だけで3分くらいのネタを作って次のライブで披露したら、これもまあまあウケて。そりゃそうですよね、急に裸で出てくるんだから。ただ、「このネタはテレビに出せるわけない」と勝手に思っていたので、ネタ見せやオーディションには持っていったことはなかったんですよ。単独ライブ限定のネタだと思っていました。
── たしかに、初めてテレビで拝見したときはびっくりしました。テレビで披露されることになったきっかけは。
アキラ100%さん:全然売れなかったので、コンビを解消して、ピンで活動をし始めてからです。大学の同級生と組んだコンビ「タンバリン」ですが、当時の相方は普通の仕事に戻りました。
『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』という番組に、毎年新年会で新人芸人がネタを見せる「山-1グランプリ」という企画があるのですが、そのオーディションの話をいただいたのが披露するきっかけです。
「山-1グランプリ」は、新人が変わったことをやる場というか、コントとか漫才より、インパクトのあるネタにフィーチャーしてくれる企画です。「裸で出ていくのが、新年会の宴会芸っぽいな」と思って、久しぶりにお盆芸をやりました。披露したのは5年ぶりくらいだったかな。「山-1グランプリ」のオーディションでなければ、あの芸は持っていかなかったと思います。
結局その年はダメだったんですけど、ひとりのスタッフさんが「いいね!」と気に入ってくださって。翌年もオーディションに行ったら、同じスタッフさんがたまたまいらして覚えていてくださったんです。「去年、裸の芸をやった人ですよね、あれの新しいのはないですか?」と言ってくださったのですが、手持ちはありませんでした。その年は別のネタを持っていっていたんです。前の年にオーディションに通らなかったから、もうお盆芸はダメだと思ってしまったんですよね。
でも、どうしてもチャンスがほしいと思って、「新しいネタを作ってくるので、もう一度見てもらえませんか」と粘ったら、そのスタッフさんが「来週またあるから、持ってきて」と言ってくださいました。そのあと1週間いろいろなネタを考えて、最終的に「丸腰刑事(デカ)」という刑事コントに作り直して持っていって、2015年お正月の「山-1グランプリ」に出演させてもらいました。
── 粘ってよかったですね。
アキラ100%さん:あのオーディションに呼ばれなかったら裸のネタはやっていないですし、あのスタッフさんが覚えてくださっていなければ2年目はやらなかった。運に運が重なった感じです。「これ、テレビに出してもらえるんだな」と僕もびっくりしましたね。