デビュー以降、順調に活動の幅を広げていた浜口順子さんですが、20歳を過ぎたころから仕事量が減り、引退を考えた時期もあったと言います。2022年に事務所を退所し、三重に移住するまでの20年にわたる芸能活動と「今」についてお伺いしました。(全4回中の3回)
「芸能界に向いてないのかも」と徐々に考え始めて
── 21歳のころ、芸能界の引退を考えていたそうですね。その理由について教えてください。
浜口さん:20歳を過ぎたころから、目に見えて仕事の量が減ってしまったからです。デビュー後4年くらいは「新人」「10代」「女子高生」というラベルで売っていけたのですが、20歳を超えると、それらのすべてが使えなくなってしまい…。
仕事量が減ってしまったのは「努力がたりなかった」というのも理由のひとつだと感じています。仕事には常に全力で取り組んできましたが、どこかで「誰かがレールを敷いてくれるだろう」と人任せになっていて、「仕事を次に繋げよう」という意欲が欠けていたのかもしれません。
当時の私は、芸能活動と並行して短期大学に通っていて、21歳になるころには、周りの友人が進学や就職など、次の一歩へと踏み出していく時期でもあり…。そんな様子を目の当たりにした私は「芸能界に向いてないのかも」と消極的になり、「辞めること」を意識するようになっていました。
── その後、どのように気持ちを立て直したのですか?
浜口さん:マネージャーさんに相談したところ「まだ諦めるのは早い」と言われました。同時に「このオーディションを受けてから今後のことを考えよう」とも。それがミュージカル『アルプスの少女ハイジ』のオーディションでした。
本心では「諦めたくない」という気持ちもあったため、オーディションを受けることに。「これでダメだったら諦めがつくだろう」と思って臨んだところ、ハイジ役に抜擢されました。歌も演技も経験がなかったにも関わらず、大役に選ばれたという結果を「もう少し頑張りなさい」という神様からのメッセージだと受け止めました。
初めてのミュージカルでは、観にきてくれた人に笑顔を届けようと全力で取り組みました。この作品があったからこそ、芸能界を継続できたと感じています。