思春期の成長痛は「体が硬いことが原因」

── 経験がある方も多い、いわゆる思春期の成長痛の足の痛みの原因はなんですか。

 

岡野医師:運動をしている子としていない子でも違うのですが、思春期に骨が伸びたり筋肉がついたりすることで痛みが出ることがあり、さらに運動をしている場合は、過度の運動ストレスがかかることで症状が出るケースが多いです。運動の疲労による筋肉や腱の付着部の痛みはどちらかというとスポーツ障害に近いと思います。この場合はいわゆるオーバーワーク、疲労による要因が大きいです。

 

サッカーをする子ども
思春期の成長痛は、運動の疲労によるものが大きいという

身長が一気に伸びる時期に柔軟性のなさから骨や筋肉の成長時に痛みを感じる場合もありますが、身長がいっきに伸びるようなときは痛みというより違和感がある場合が多いです。足がむずむずするような感覚があるときが骨や筋肉の成長している際の症状です。

 

いずれの場合でも、足に痛みが生じる子は、体が硬く柔軟性が少ないことが共通しています。「オズグット病」と呼ばれる膝に痛みを感じる疾患は、スポーツをする子に多く現れるのですが、太ももの筋肉が張りすぎて硬くなっていることが原因で起こります。思春期のころに運動をしている子は、部活などで毎日のように練習をしているにも関わらず、ケアをする時間が圧倒的に少ないです。競技にもよりますが、走り続ける、投げ続ける、蹴り続けるというようなことを日常的にし続けてしているケースが多いです。

 

── 思春期の成長痛の痛みを防ぐ方法はあるのでしょうか。

 

岡野医師:ストレッチをすることは大切です。運動をする場合も、同じメニューであっても個人差や体格差もありますから、個人個人に合ったスケジュールを組み、毎日練習をするのではなく、1日は筋肉を休ませてあげてストレッチに充てられたらいいですね。ただ、現実的にはなかなか難しく、気づいたときにはすでに症状が強くなっているというパターンがほとんどだと思います。できるだけ練習の中に、予防的なストレッチを組み込んでいただけたらと思います。

 

今はモアレ検査という背骨の曲がりを調べる検査も実施されていますが、病気によってできない動きなどもあるので、本来は運動能力の測定だけではなく、柔軟性も含めた身体的な検査をすべきだと思います。しゃがんでみるとか、片足立ちができるかなども調べて、指導する立場の方や親御さんが把握することも重要になってきます。

 

また、栄養も成長には欠かせませんが、お子さん自身でバランスのいい食事をとることは難しいです。骨の成長というとカルシウムのイメージがあるかと思いますが、カルシウムの吸収にはビタミンが、筋肉の成長にはタンパク質が必要で、そのほかの栄養素も偏りなくとることが大切です。総合的な知識を持ってお子さんの成長に向き合っていただけたらと思います。

 

PROFILE 岡野達正医師

岡野整形外科院長。曽祖父の代から約100年続く東京・両国の整骨院を2016年に整形外科クリニックとしてリニューアル。スポーツ外傷や治療から予防まで、ひとりひとりに合ったオーダーメイド診療を目指す。

 

取材・文/内橋明日香