多くの人が一度は経験がある成長痛。寝ているときに足に痛みを感じる成長痛は、起こる年齢によって対策が変わってくるそうです。こども整形外来がある岡野整形外科の岡野達正医師に伺いました。

成長痛への対策「幼児期と思春期で違う」

── 子どもが突然、夜中に「足が痛い」と泣いて起きてしまうけれど、朝になると何事もなかったかのようにケロッとしているので、受診するか悩むという声を聞きます。小さいお子さんが訴えるこの痛みの正体はなんでしょうか。

 

医師さん:これは成長痛と言っていいと思います。私たちが指す成長痛というのは、子どもが足に夜間に感じる痛みのことで、骨折や脱臼などのケガや病気などの理由がなく、翌朝になると痛みが消えて、普段通り元気に活動できることをいいます。

 

子どもの足
足の痛みを訴える成長痛は2~3歳頃から起きることも

2〜3歳から小学校低学年ころにかけて起こります。成長痛と聞くと、もう少し年齢が上の、小学校中学年から中学生ごろの思春期に起きるものというイメージを抱く方が多いと思いますが、実は小さいころから起きる足の痛みも成長痛と呼んでいて、幼児期と思春期とでは対策を分けて考えたほうがいいと思います。

 

── まさに成長痛は思春期というイメージがありました。幼児期の成長痛の原因はなんですか。

 

岡野医師:はっきりした原因がわかっていないのですが、幼児期の足の痛みは、骨や筋肉の成長そのものよりも、不安定な気持ちが影響していると言われています。たとえば弟や妹が生まれたり、ペットを飼い始めたりなどといった環境の変化をきっかけに足に痛みを感じるお子さんが多いです。

 

── なぜ夜中に、足にだけ痛みを感じるのでしょうか。

 

岡野医師:こちらもはっきりとした原因がいまだにわかっていないのですが、1日の疲れがあることや、小さいお子さんは夜間に不安感や寂しさを感じることが多いからだと言われています。

 

── 子どもが痛みを訴えた場合の、家庭での対処法はありますか。

 

岡野医師:痛みを感じる箇所を冷やしてあげたり、湿布を貼ったり、幼児であればさすってあげて寄り添うだけで気分が落ち着き、そのあとは眠れるという子も多いです。

 

寝ている子どもに寄り添う親
幼児期の成長痛への対処法は寄り添うこと

── 病院には連れていかなくても大丈夫でしょうか。

 

岡野医師:夜間に痛みを感じても、翌朝は元気に歩いたり走ったりできている場合は、ほとんどが経過観察でいいと思います。ただ、気をつけなくてはならないのは、先天的な病気や基礎疾患などが隠れている場合です。特に小さいお子さんは、痛みの箇所を正確に伝えることが難しいので、股関節に炎症が起きていても「足が痛い」という子もいます。

 

痛みが継続していて足が腫れている場合は、無理に動かさず、冷やして痛み止めをうまく使い、病院に連れていくのがいいです。足が急激に腫れてきた、数時間経ってから内出血が起きたなどの症状がある場合はすぐに受診してください。

 

── 何科を受診したらいいですか。

 

岡野医師:お子さんに熱がある場合は小児科で大丈夫ですし、ケガをしていたり、していなくても痛くて動けなかったり、普段は歩いているのに歩かなくなったような場合は整形外科がいいと思います。病院では、関節を動かせるか、腫れているかなどを総合的に診て、その後は必要に応じてエコーやレントゲンをとります。炎症が起きていて関節が腫れていたとか、まれに腫瘍があるケースもありますので、検査が必要です。