親切な世話焼きおばちゃん「実は俺の体目当てだったみたい」

スギちゃん
インドのヒンドゥー教の聖地にて

── 2年間でたくさんの出会いや思い出があると思うんですが、いちばん印象的だったのは?

 

スギちゃん:いちばんですか…あ、まだ番組が始まったばかりのころ、おもしろいおばちゃんに会ったんですよ。駅前でお酒を飲んでいたおばちゃんが、妙に俺に酒をすすめてくれて。言葉はわかんないんですけど、一緒に飲んで意気投合したんです。

 

その後、その場を離れて、俺は別のお店に移動したんですが、お店の人に言葉が通じなくて。「困ったな、わかんないな」と思っていたら、そのおばちゃんが原付に乗って助けに来てくれたんです。そのおばちゃんはジェスチャーがわかりやすくて、お店の人の間に入ってくれて全部教えてくれました。それで「ありがとうね」って言って別れて、また別の場所に行ったんですけど、そこで困ったことがあったときも、またさっきのおばちゃんが原付で駆けつけてくれて(笑)。最後の最後までいろいろとめんどうをみてくれました。どうやらその人は、俺を家に誘っていたみたい。「私の家で一緒に飲もう」って。どうやら俺の体目当て、だったようで…(笑)。

 

スギちゃん
台湾を訪れた際のショット。妻への愛が伝わります…!

── なんと…(笑)。 

 

スギちゃん:おかげでオンエアもめちゃくちゃおもしろい回になりました。あれは忘れられないですね。そのおばちゃんは俺のことを中国人だと思っていたようで「謝謝(シェイシェイ)」って俺のことを呼んでたんですけど、俺は「先生」って呼ばれてると思いこんで「いや、先生じゃないっす」って(笑)。その言葉の食い違いがまたおもしろくって。あのときに「この番組っておもしろいな」って思いました。

 

その人と話してから「人っていいな」って思ったんですよね。意思疎通できたら、旅はすごく楽しいんだなっていうのを感じた瞬間でした。それでも、なかなか言葉が通じなくて、無視されてすごく冷たくされたこともあったんですけれど、そういうときは、文字を書いて伝えようとしてみたり。なんとかしてコミュニケーション取ろうと必死でしたね。すごく楽しかったです。

 

PROFILE スギちゃん

1973年、愛知県生まれ。95年にお笑い芸人として活動開始、2012年「ワイルドだろぉ」の決め台詞で『R-1ぐらんぷり』にて準優勝を勝ち取りブレイク。プライベートでは2児の父でもある。

 

取材・文/市岡ひかり 写真提供/スギちゃん