有村昆さんに紹介され「2000万円あれば受けられると」
── 実際に行動を起こしたのは、いつごろですか?
山口さん:2021年です。再発がなかったので「代理母をやってみたいんだけど」と伝えましたが、あまり好意的な反応ではなかったですね。「そこまでして子どもをもつ必要があるの?」と。でもぼくはどうしても子どもがほしかったので、何度も説得して、最後は折れてくれた。30年間、不妊治療も含めてぼくの希望のためにも頑張ってくれた妻ですが、自分にもいろいろやってくれたぼくに対する恩返しの気持ちがあると言ってくれました。
芸能界の友人に有村崑さんという映画評論家がいるんですが、フリーアナウンサーの丸岡いずみさんとの間にロシアでの代理出産で男の子を設けていました。そこで崑ちゃんに相談したら、快く代理母出産のエージェントを紹介してくれたんです。話を聞くと代理母が盛んなアメリカ、ロシアよりもウクライナがいちばん費用がかからず、諸経費込みで2000万円で受けられると。それでもかなり高額にはなりますが、車など売れるものは全部売って、ここに勝負を賭けようと決めました。
── リスクに対する葛藤はありませんでしたか?
山口さん:まったくありませんでした。その段階で熟慮は終わっていたので。ただ、保守的な両親をどう説得するかという心配はありました。自分の親には妊娠が確定してから伝えました。最初は驚いていましたが、思った以上の反発はなく、「やりたいんだったらやればいいんじゃない」と僕の人生を尊重してくれた。カミさんの両親には、産まれてから報告しました。やはり驚いていましたが、受け容れてくれました。今は太郎をとてもかわいがってくれています。
PROFILE 山口敏太郎さん
やまぐち・びんたろう。1966年、徳島県生まれ。1990年代よりオカルト作家・研究家として活躍。「オカルト界の巨匠」と呼ばれる。多彩なクリエイターのマネージメントを行う山口敏太郎タートルカンパニー代表。2022年に代理母出産にて長男・太郎くんが誕生。
取材・文/原田早知 写真提供/山口敏太郎