子育てで唯一決めていたのが「携帯電話」

伊藤かずえさん
書道をする伊藤さん

── シングルマザーとして、娘さんと二人三脚でやってこられました。お子さんとの向き合い方で心がけていたことはありますか? 

 

伊藤さん:子育てに関しては、何かこだわりや方針を持って育ててきたわけではないんです。人を傷つけるようなことをしたときは強く叱りますが、それ以外は「これをしなさい」と口を出したり、強制したことはないんじゃないかな。宿題も私が言わなくてもやっていましたし、朝も自分で起きてくるなど、あまり手のかからない子だったというのもあります。

 

ただ、唯一決めていたのが携帯電話に関すること。まだ心が成熟していない段階でネットの世界に触れさせるのは危険だと思っていたので、「携帯を持たせるのは、高校生になってから」と決めていました。SNSでのいじめなども問題になっていますし、悪の道に入るきっかけになっても怖い。その代わり、私と兼用のタブレットを渡して、ゲームや習い事での連絡用に使わせていました。家を離れる時間が長い場合は、携帯がないと不便でしょうけれど、幸い学校も家の近くだったので、なくてもなんとかなるだろうと。

 

── お子さんにせがまれたりしませんでしたか?

 

伊藤さん:せがまれたときは、「よそはよそ。うちはうち!」と言い聞かせていました。「キッズケータイだったらいいよ」と言ったこともありましたが、「それなら要らない」と言われたので。高校生になってから、普通の携帯を買い与えました。

 

── 伊藤さんいえば、お料理上手としても知られています。以前、ブログにあげたお子さんへのお弁当が、「色とりどりでおいしそう!」と話題になったことも。愛情いっぱいのお弁当ですね。

 

伊藤さん:やっぱり食事は生活の基本ですから、ちゃんと栄養をとってもらいたくて。特に、1日の始まりである朝ごはんは、すごく大事。毎朝、焼き魚を焼いて、納豆とごはん、野菜をたっぷり入れたおみそ汁を食べさせてから、送り出すのが日課になっています。お弁当作りは、娘が社会人になったいまも続けているんです。冷製スープと、冷凍食品を活用したおかずなどをちょちょっと詰めて、おにぎりを握る程度ですけど、残さず食べてもらえると、やっぱり嬉しいものですね。

 

PROFILE 伊藤かずえさん

いとう・かずえ。1966年、神奈川県生まれ。1978年デビュー。85年に大映ドラマ『ポニーテールはふり向かない』(TBS系)で初主演。そのほか『不良少女とよばれて』『スクール☆ウォーズ』など、数々の大映ドラマに出演。その後も『ナースのお仕事』をはじめ数々の人気作品に出演。2022年には自身のYouTubeチャンネル『やっちゃえ伊藤かずえ』を開設。

 

取材・文/西尾英子 画像提供/伊藤かずえ