メダカからイグアナまで!ユニークなペットの依頼も

熱帯魚の火葬を行っている様子
熱帯魚の火葬を行っている様子

── 犬や猫だけでなく、ユニークなペットの依頼もあるとか。

 

森山さん:変わったところでは、メダカやチンアナゴ、ウーパールーパー、熱帯魚、カエル、亀、ヘビ、イグアナなどの動物、あとはサルもいましたね。珍しいペットはこれまで60件程度で、依頼数としては多くはありませんが、着実にニーズは増えていますね。サービス全体を見ると、2020年の取扱数は2314件、2023年は1万3858件で6倍に伸びています。

 

── チンアナゴにメダカ、ウーパールーパーまで!小さな魚の火葬で遺骨が残るのですか?

 

森山さん:小さなメダカから大きなワンちゃんまで、生き物の大きさに合わせて繊細な火力調整ができる火葬炉を自社で開発しています。ただ、小さい生き物は、一瞬で火葬が終わってしまうので、その間はスタッフがずっと窓からのぞいて火力を管理し、骨を残せるようにしています。当初は、珍しいペットを想定しているわけではなかったのですが、メダカやチンアナゴなどの依頼を受けているうちに、口コミで広がったようです。骨のある動物は、基本的にお断りはしない方針です。

 

なかでも印象に残っているのが、「お祭りの金魚すくいでもらってきた金魚を火葬してほしい」という小学生からの依頼でした。ご両親がいなくておじいちゃんに育てられたお子さんだったのですが、「貯めたおこづかいがあって、おじいちゃんがいいと言ってくれたから、お願いできませんか?」とていねいな電話が。その子の優しい思いを汲んで、わずかな手数料で火葬を行いました。終わった後も、「お兄ちゃんありがとう!」と担当スタッフにお礼を伝えてくれ、その後も手紙をくれたり、ギフトカード500円分を同封してくれたり。「ありがとうね。でもギフト券はいらないからね」と伝えました。

 

── 心温まるお話ですね。

 

森山さん:優しい気持ちが嬉しかったですね。ほかにも、お子さんに命の大切さを学ばせるために、火葬を依頼される親御さんもいらっしゃいます。お見送りを経験させることで、「動物を飼うということは、死ぬまで責任を持つということなんだよ」と伝えてあげたいのかなと思います。

 

PROFILE 森山友祐子さん

もりやま・ゆうこ。1987年、京都府生まれ。株式会社プログレス代表取締役。テレビ局のヘアメイクを経て、2014年に同社にアルバイトとして入社。2020年からペット火葬・葬儀サービス「ハピネス」を立ち上げ、サービス開始。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/森山友祐子、株式会社プログレス