娘には「あなたのそういうところが好き」と毎日伝える
── 基本的には子どもを信用するけれど、「親フィルター」はかけすぎない、と。
長山さん:そう思っていますが、子どもには、それを悟られないようにしたいなと。「ママは私のことを信用していないの?」と思われたら悲しいじゃないですか。だから、「あなたを全面的に信用しているからね」と振る舞うことも大事だと思っているんです。
── たしかに、全幅の信頼を置かれると相手を裏切れないですよね。お子さんには、どんなふうにその気持ちを表現されるのですか?
長山さん:「信頼してるからね」と直接的な言葉で表現するよりも、娘が自分の気持ちや出来事をありのままに話してくれたときに、「それがあなたのいいところだよね」とか「そういうところがママは大好きなんだよね」と、その都度伝えます。いいことも悪いことも、隠しごとをせずに話してくれたその「正直さ」を褒めるんです。すると、娘もすごく嬉しそうな表情になり、そのあとで、いくつか自分の新情報を話してくれるんですよ(笑)。
── 引き出し方が上手でいらっしゃる(笑)。
長山さん:子どもって、エンジンがかかるまでが結構、大変だったりするけれど、いったんノッてくるとずーっとおしゃべりするじゃないですか。そういうときに、普段聞けないような話をしたり。夫もそういうコミュニケーションをしているので、わが家では子どもとの間に隠しごとがないんです。
── たとえば、ネガティブなことであっても否定せずに耳を傾ける感じなのですか?
長山さん:あまり娘の口からネガティブなことは聞いたことがないのですが、たまに「あの子とはちょっと気が合わないかも…」という話になったときには、理由をよく聞きながら、「そっか。それなら私も合わないな」とか、友達みたいに話してますね。
だいたい晩ご飯を食べ終わった後はバルコニーに出て、家族で1時間くらいおしゃべりをするのが、わが家の恒例。最初に夫が出て、娘が続いて、最後に片づけを終えて私が参加。外だと解放感があって、余計におしゃべりがはずみます。そこで話す内容がいちばん濃いですね。私にとって、ものすごく幸せな時間です。
「なんでそんなに綺麗なの?」と言う夫に「からかってんな(笑)」
── ご主人とはバラエティ番組での共演がきっかけで出会ったそうですね。国際結婚のカップルですが、習慣や価値観の違いを感じることはありますか?
長山さん:夫は家族との時間をすごく大切に考えますね。うちの両親の誕生日なども、必ずお祝いをして、一緒にディナーを食べたりします。夫は人を喜ばせるのが大好きなので、プレゼントを贈って終わり、という儀式的なものではなく、いろいろと楽しみながら準備をしてくれるので嬉しいですね。
── 外国人のパートナーは、相手を褒めるとよく聞きます。以前、あるメディアで「毎日『綺麗だね』と褒めてくれる」とおっしゃっているのを聞き、とても素敵だなと感じました。
長山さん:「なんでそんなに綺麗なの?」とか言ってくるから、最近は「からかってんな、コイツ」って思ってます(笑)。きっと彼のなかで「毎日褒めよう」って決めているんじゃないですかね。でも、夫婦としての愛情を大事にするというのは、外国人あるあるなのかも。普段は子ども優先のスケジュールですが、月1回くらいのペースで2人だけでドレスアップして出かけたりします。娘からすれば、夫が私を褒めたり、2人が仲良くしているのは当たり前の光景になっていると思います。
PROFILE 長山洋子さん
ながやま・ようこ。1968年、東京都生まれ。1984年に『春はSA-RA SA-RA』でアイドル・ポップスシンガーとしてデビュー。86年にユーロビートの代表曲『ヴィーナス』をカバーし、大ヒット。88年、映画『恋子の毎日』に主演し、女優としても活躍。93年に25歳で演歌歌手に転身し、以後、演歌界で活躍。2009年にアメリカ人実業家と結婚し、翌年に長女を出産。
取材・文/西尾英子 写真提供/長山洋子