ネカティブな気持ちはノートに書きまくった
── 闘病中はどうしても大きなストレスにさらされてしまいます。気持ちがつらくなったときには、どんなふうにメンタルを保たれていたのでしょう?
長山さん:闘病中は、どうしてもメンタルがネガティブに傾いてしまいます。そんなときは、つらい思いをノートに書き込んでいましたね。誰にも見せないストレス発散のためのノートだから、普段使わないような乱暴な言葉も感情のままにダーッと書いて。すると、不思議と気持ちがスッと落ち着いていくんです。私には、すごく効果がありましたね。
同じがん仲間の存在にも支えられました。がんを公表してから「実は私も…」と、明かしてくれた友人がたくさんいたんです。仲間と交流し、いろんな話を聞いたり、励まし合ったりしたことで、ずいぶん気持ちが落ち着きました。
── 同じ思いを共有できる仲間の存在は心強いですね。
長山さん:そう思います。同じ乳がん患者でも、人によって症状も違えば、治療の選択も違っていて、考え方は十人十色だと知りました。
抗がん剤の治療をしながら、後半はレギュラー番組の収録に参加。10月には、コンサートの舞台に復帰しました。落ち着いてからステージに戻るという方法もあったと思いますが、治療でこもりきりだと、余計なことを考えてしまうので、無理のない範囲で歌わせてもらうほうが自分には合っていたようです。
PROFILE 長山洋子さん
ながやま・ようこ。1968年、東京都生まれ。1984年に「春はSA-RA SA-RA」でアイドル・ポップスシンガーとしてデビュー。86年にユーロビートの代表曲「ヴィーナス」をカバーし、大ヒット。88年、映画『恋子の毎日』に主演し、女優としても活躍。93年に25歳で演歌歌手に転身し、以後、演歌界で活躍。2009年にアメリカ人実業家と結婚し、翌年に長女を出産。
取材・文/西尾英子 写真提供/長山洋子