今、現在の活動は

プリンセス天功
飼っているホワイトライオンのKINGくん

── 天功さんの人生はエンターテイメントそのものですね。生涯だけでなく、その後も人を楽しませるという。

 

天功さん:いくらお金を持っていても、使い道がないですし、欲しいものもないんですよね。もちろん世界中でチャリティ活動はしていますが、最近いろいろと思うところがあって。孤児院や障がい者施設など、これまでたくさんの施設に寄付をしてきたのですが、半数以上は、ご連絡もないですし。だから、「もしかして施設にお金が渡ってないんじゃないか」と心配するようになりました。

 

ですから、最近は、確実に相手に届くことがわかるようなところに寄付をすることにしています。たとえば、レスキュードックを育成している団体は、きちんと連絡もいただけるし、パキスタンや中国の地震でも派遣されていることがニュースにもなっているから安心しています。能登半島の地震では、所属事務所の吉本興業が取りまとめて行うということで、お任せしました。

 

── 今、ハマっていらっしゃることはありますか?

 

天功さん:時間があるときは、創作活動をしていることが多いですね。もともとアートにすごく興味があって、子どものころから絵を描いたり、ドレスを作ったり、ドールを製作するなど、モノを生み出す作業が好きなんです。以前、ヤフーのチャリティーオークションでテディベアを出品してほしいと依頼を受けて出したところ、200万円以上の値段がついて「そんな高く売れたんだ!」とビックリしました。愛車のロールスロイスやハーレーダビッドソンに絵を描いたこともあるんですよ。

 

── 愛車にアートですか!しかもハーレーに乗っていらっしゃるとは、カッコいいですね。

 

天功さん:昔からバイクが好きで、ハーレーにもたくさん乗ってきましたね。イリュージョンで使ったこともあります。

 

── 現在の活動について教えてください。

 

天功さん:イリュージュニストとしては、引き続き、世界で公演活動を行っています。日本でも昨年は、富山県と新潟県でちょっと変わった大がかりなショーを開催しました。近年は、アート活動にも力を入れていて、2020年から21年は、オリジナルドール作品を、22年秋からは、アクリルペイントアートを製作し、展示会なども行っています。ほかにも、福祉支援や動物愛護活動といった社会貢献などは長年続けていますし、様々な分野でいろいろな活動をしていますね。

 

最近では、トークショーで、これまでの経験やキャリアについてお話しする機会が増えています。皆さん、ミッキーマウスに会うような感覚で見に来てくださるようで(笑)、「天功さん見てきた!」「握手しちゃった」とおっしゃる声をよく聞きますね。失敗の許されない厳しいショービジネスの世界で生きてきた経験をお話しすることで、働く女性のみなさんに勇気を与えることができたらすごく嬉しいなあと思います。

 

私は、プリンセス天功として、生涯ステージに立ちつづけるという契約を結んでいるので、一生この仕事を辞めることはありません。今も常にショーのことを考えています。どんな人にも楽しんでいただけるようなステージをこれからも作り続けていきたいですね。

 

PROFILE  プリンセス天功(引田天功)

ぷりんせす・てんこう(ひきた・てんこう)。イリュージョニスト。日本ではアイドル歌手、女優としてデビュー。1980年に二代目・引田天功を襲名。世界的には、イリュージョニストPRINCESS TENKO(プリンセス天功)のステージネームで知られる。1990年に、女性として初の快挙となる米国「マジシャン・オブ・ザ・イヤー」受賞。以降、世界的なイリュージュニストとして活躍を続ける。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/プリンセス天功 (C)TENKO