指導者の道を歩み始めた夫と家族の次の目標

── 2人のお子さんには今後どんな風に育ってほしいと思いますか。

 

智美さん:10歳の長女と8歳の長男はインターナショナルスクールに通っているんですが、ニュージーランドでの経験があったからこそなんです。去年の12月には私たちが大好きな土地でいろいろ経験してきてもらいたくて、短期間ですが娘をひとりでニュージーランドに行かせたんです。

 

── ひとりで行かせることに不安はありませんでしたか?

 

智美さん:もちろん何かあったらどうしようという心配はありました。でも、若い頃に経験したほうが響くし、その後の人生にいきてくることも多いんじゃないかという考えがあって。それに主人が「不安だって言っていたら何も経験させてあげられないよ」って。そのあたりは夫婦でいいバランスが取れているんじゃないかなと思います。2人の子どもたちには日本にとどまらず、世界で活躍できるような人間になってほしいですね。それは人間性も含めて。娘は昨年5月からバドミントンを始めて、この1年の間に県大会で準優勝できるまでに成長したんです。

 

田中史朗・智美家族
両親の血を継いで、娘はバドミントン、息子はラグビーをやっている

── 娘さんがバドミントンを始めたときはやはり嬉しかったですか?

 

智美さん:嬉しかったですね。でも、教えるとなると、特に親と子の関係性においては難しい場面もあって。娘は「日本代表になりたい」「高いレベルでプレーしたい」と実際に言葉にしているので、私たちも「それじゃ甘いよ」とアドバイスしたりするんですが、以前は「なんでそんなこと言われなきゃいけないの」って(笑)。最近は本人の意識も変化して、私たちのアドバイスにも、「うん、頑張る」と前向きになり、モチベーションが上がってきているなと感じています。今は家族みんなで朝5時半に起きて、近くの運動公園で走り込んだりトレーニングをしているんですが、娘の自信をつけるための時間でもあり、家族の絆を深める時間にもなっています。

 

── 田中選手は指導者として新たな人生をスタートさせています。智美さんご自身の今後の夢や目標はありますか?

 

智美さん:次は子どもたちのサポートをして、娘の夢でもあるバドミントンの日本代表を実現できたらいいなと思っています。 日本にとどまらず、世界に羽ばたけるような選手になってもらいたいです。息子はこれからラグビーをやり始めるんですが、おそらく主人が熱血指導するんじゃないかな。もちろん、無理やりやらせる気はないですが、息子も目指すところが明確になってきてるので、私たちも応援したいですね。

 

── ご夫婦として、家族としてこれから楽しみたいことは。

 

智美さん:これまでは家族の時間が限られていたので難しかったのですが、時間をつくって第2の母国ともいえるニュージーランドに行きたいですね。家族として、夫婦としていい時間をすごし、絆が深まった場所。いつか必ず戻りたいなと思っています。

 

PROFILE 田中智美さん

たなか・ともみ。バドミントン選手として三洋電機やヨネックスでプレーし、怪我の影響により引退。2011年にラグビー元日本代表・田中史朗さんと結婚。現在は二児の母としてバドミントン界に戻り、ミズノアドバイザリースタッフとしてイベントや講習会なども行っている。

 

取材・文/石井宏美 写真提供/スタビューエージェンシー