日本のカレー文化を牽引してきたカレー研究家で、『超絶! 肉の家カレー革命 決定版』の書籍でも話題の水野仁輔さん。「1周回って今、ルウカレーの時代が来ている」と話します。
市販のルウを使っておいしく!家カレーを作る基本の「水野流のオキテ」
僕の家ももちろん、決まってルウカレーでした。ただしその種類には変遷があって、僕が中学までは「ジャワカレー」、大学までは「ザ・カリー」、そして現在は「ディナーカレー」です。だから、その味を久しぶりにいただくと、当時のことがフラッシュバックのように蘇ってくるんですよね。幼いころの懐かしさや、ほっと落ち着く安心感があって。それがスパイスとしてひとふりされて、特別なおいしさになる。昔も今も変わらないのがおいしさのカギなんですよね。
でも、ちょっと考えてみてください。変わらないということは、「習慣」のおいしさで、よりおいしい味への挑戦をしていなかったのかもしれません。それは、もったいない!家カレーの味は、本当は今よりもっとおいしく進化していくべきです。
そのためにはどうすればいいか…。市販のルウを使ってプロのシェフ顔負けの味を作るためには、ちょっとしたコツがあるんです。
<基本のオキテ①>ルウは気持ち控えめに
ルウは本来、お湯に溶くだけでカレーになるように設計されています。そこに、肉や野菜を入れる、隠し味を使うなど、味をたしていくとどんどん味が濃く、複雑になります。たしたぶんは引くこと。だから、使うルウの分量は、基準より少なめにするとちょうどいいのです。
<基本のオキテ②>ルウは火を止めてから入れる
グツグツ煮込んでいる鍋にそのままカレールウを入れて混ぜていませんか?それは禁物!温度が高いとルウが溶けにくくなって、ダマになってしまうことがあります。だから、カレールウを入れるときには必ず一度、火を止めること。
それからルウを溶かし混ぜ、再び加熱してとろみが出るまで混ぜ合わせます。そうするとルウが均一になじんで、なめらかな舌ざわりが生まれます。
<基本のオキテ③> ルウを入れたら煮込みすぎない
ルウが溶けてから長い時間コトコト煮込み続けるのは、あまり意味がありません。煮込んでも、味はほとんど変わらない。むしろムダに煮込んだぶん、具の形がくずれたり、具のうまみエキスがカレーソースに奪われて、味けない仕上がりになることがあるので要注意。