「いい年なんだから」には「なんでダメなの?」と反論したい
── 結婚に関して、自分のなかで考えが変わってきた、という感じでしょうか。
寺田さん:私だって、昔は「お嫁さんになる! 」みたいな夢はありましたから(笑)。今はないけどね。最近は結婚や家族の形が変わってきているなと感じます。でも、日本人のよくないところだと思うのですが、みんな周りと自分をくらべてしまいがちだし、こうあるべきだっていう固定観念を押しつける風潮はいまだにある。少し前にSNSで「年配女性がバンドのTシャツを着るなんてカッコ悪い」みたいな記事が話題になっていたじゃない。ああいうのを見聞きすると、「バカじゃないの」って感じます。だって海外では、おばあちゃんがバンドTシャツを着ているからって「おかしい」なんて誰も言わないですよ。日本は、ルールや思想にとらわれすぎなんじゃないかなって気がします。
── たしかにそういう面はありますね。性別や年齢で制限されてしまうことも多いかも。
寺田さん:たとえば、私が鋲のついた下着風の衣装でテレビに出たら、「もういい年齢なんだから」なんて言われる。でも「じゃあ、なんでダメなんですか? 」って逆に聞き返したい。私は年齢に関係なく、やりたいことはやったらいいし、自分が着たい服を着たらいいと思う。結婚だって、しない選択が悪いわけではないし、どれを選ぶかはその人の人生。自分の人生をどう生きたいかを見つけられるかどうかが大事なんじゃないかな。それでもし、まだやりたいことが見つからないなら、いろいろ試してみたらいいじゃないですか。
── そもそも、やりたいことが見つからないという声も聞かれます。
寺田さん:もしもやりたいことが見つからなくてモヤモヤしていたり、元気がない日々を送っていたりするなら、ぜひSHOW-YAのライブに来てほしいです。めっちゃ元気が出るので!還暦を過ぎた女性が髪を振り乱して、一生懸命人生を生きている姿を見れば、きっと励みになると思いますよ(笑)。
PROFILE 寺田恵子さん
てらだ・けいこ。1963年、千葉県出身。ミュージシャン、シンガーソングライター。高校在学中から音楽活動を開始。1985年、SHOW-YAのボーカリストとして『素敵にダンシング』でデビュー。1991年にSHOW-YAを脱退し、1992年に『PARADISE WIND』でソロデビュー。また再び2005年SHOW-YA再結成。現在もライブ活動を中心に活躍中。最新アルバムは2021年リリースの『SHOWDOWN』。
取材・文/池守りぜね 写真提供/寺田恵子