1985年のデビュー以来、女性ロックバンドの先駆け的存在として40年近く活動を続けているSHOW-YA。そのフロントメンバーであり、ボーカリストを務めているのが、寺田恵子さんです。人気絶頂の頃、「結婚か音楽か」と密かに悩み、葛藤していたそう。「女の子はお嫁さんになるのが当たり前」だった時代を経て、今思うこととは。(全3回中の2回)
人気絶頂の頃、突然脱退した理由
── 念願だったプロデビューを果たし、『限界LOVERS』(1989年)は30万枚以上のヒット。バンドとしての目標は早い時期に叶ってしまったのでは?
寺田さん:そう思われるかもしれませんが、SHOW-YAは決して順風満帆なバンドではなかったんです。私は27歳で一度バンドから去っていますし。2005年に再結成してからは、少しは大人になったかな…。それまでは感情だけで押し進んでしまっていたところを、一度ちゃんと考えてから行動するようになりました。メンバーの話にもきちんと耳を傾けられるように。まだ子どもっぽいところはいっぱいありますけれどね(笑)。
── 一度SHOW-YAを脱退されたのは、どのような理由からですか?
寺田さん:いろんな要因はありますが、「音楽と結婚、どちらを取るか」という選択もあったりして。それまではずっと「音楽」を選択してきたけれど、SHOW-YAを脱退した当時は、結婚話が出ていました。脱退したときは音楽をやめたいと思っていたので、「音楽をやめようかな」とパートナーにしたら、「じゃあ結婚しようか」と。でも結局、バンドを脱退した1年後に音楽の世界に戻った頃には、結婚話は破談になっていました(苦笑)。そういう価値観の時代だったのかも。同時期に活躍していたプリンセス プリンセスには、結婚して子どもがいるメンバーもいるけれど、SHOW-YAに関して言えば、みんな子どもがいないので。当時は音楽とプライベートを両立させるのが難しい環境だったのかもしれませんね。
── 今でも結婚したいというお気持ちはありますか?
寺田さん:私としては、婚姻関係にとらわれず、人生にはつねにパートナーが必要だと思うんですよね。自分が自分らしく生きるためには、相手がいるほうが頑張れるので。恋愛のことは周囲には全然隠さないのですが、だって60歳を過ぎて隠してもね、逆に気持ち悪いでしょ(笑)。パートナーがいるのは、悪いことではないと思う。形にとらわれないだけで、結婚している人と変わらないような生活をしているケースもあるわけだから。お互いを認め合っていれば、入籍をしていてもしていなくても関係ないんじゃないかな。