「みんなと同じである必要はない」と考えるように
── パニック障害を発症した背景には、なにか理由があったのでしょうか?
杉原さん:原因は周りの急激な環境の変化だったのかな?女性は特に、30歳を迎えると環境がガラッと変わると思います。仕事をバリバリ頑張る人もいれば、子育てに追われる人もいる。結婚したばかりの人もいれば、結婚したいけれど恋人ができない人も。置かれている環境が人によって大きく異なるんです。
地方から上京してきた私にとって、周りがどんどん変わっていくのはすごく不安で怖くて…。グラビアもいつまで仕事をもらえてできるのかわからない、結婚もしたいという不安のなかで仕事をしていて、突然パニック障害になってしまいました。周りの人にもなかなか頼れず、自分の中のバランスが崩れたのだと思います。自分がメンタルを崩すタイプとは思っていなかったので驚きましたね。
── それはつらかったですね。そこから治療を?
杉原さん:めまいなどの症状はあったのですが、初めの頃は原因がわからず。不安でパニックになっていました。でも原因がわかってからは、薬の服用だけでパニック障害の症状はだいぶ軽快しました。
自分が抱えているのは30代の女性ならではの悩みだと気づき、不安をなくすために考え方を変えたんです。みんなと同じである必要はないし、過去や未来のことを考えても仕方がない。今のことだけを考えていればいいんだと思うようにしたのがよかったのだと思います。頻繁にカウンセリングを受けたりすることもなく過ごしています。
── その頃はお仕事もセーブされていたのですか?
杉原さん:むしろ逆ですね。仕事がないと不安になるので、パニック障害の原因がわかってからは、今まで以上にどんどん仕事を入れてほしいとマネージャーさんにお願いしていました。グラビアの現場に行くと、とても楽しいんです。仕事で人と接することで気持ちが明るくなるし、気もまぎれる。仕事がなくなるのがパニック障害の原因のひとつならば、もっと仕事をすればいいんだと思ったんです。飛行機に乗らなくてすむ都内の撮影を中心に働いていました。
── 今でも飛行機に乗るのは難しいですか?
杉原さん:2年ほど前から少しずつですが、乗れるようになりました。といっても、年に2回ほどですね。まだ多少不安があるので、九州など陸路でも行けるところは時間がかかっても新幹線で行くようにしています。
もともとプライベートではそんなに海外旅行に行くタイプではありませんでした。日本が好きでまだまだ行ったことのないところも多いので、飛行機に乗らずに行ける国内旅行をこれからも楽しんでいきたいです。
PROFILE 杉原杏璃さん
すぎはら・あんり。1982年、広島県生まれ。グラビアアイドルとして数々の写真集やDVDを発売。自伝的小説『…and LOVE』も話題に。補正下着ブランド「Andijur」をプロデュース。資産運用にもたけており、30歳で資産1億円の、いわゆる「億り人」になる。著書『…and LOVE』(双葉社)、『マンガでよくわかる資産運用1年生 』(かんき出版))を発売。
取材・文/酒井明子 写真提供/杉原杏璃