19歳年上の夫とふたりの子どもたちと暮らすイラストレーター、よこみねさやかさん。最近、小学生の子どもたちの悩みに答える夫の発言に、数々の名言が散りばめられていることに気づいたそう。「友達から“可愛くない”って言われた」とショックを受ける娘に、またもや独自の主張を展開します。
「かっわいい…」娘をほめ続けた結果、思わぬ事態に
娘が可愛い。上から見ても下から見ても前も後ろもすべてのフォルムが愛しくて、目が合った瞬間「かっわいい…」と口から言葉が勝手にまろび出てしまうため、ゆめこはたぶん自分のことを絶世の美女だと思っている(息子もしかり)。
しかし世の中にはいろいろな価値観があり、ゆめこの世界は広がる。ある日、見たこともないようなドス暗い表情で帰ってきたゆめこは、おもむろに「もしかして、実は私って可愛くないの?」などと言い出した。
出たよ。ついに家族以外の人間からの評価をぶつけられたのです。
私自身もさんざん経験してきたことだからわかるのですが、子ども時代のそれは、かなり心をエグります。口に出すべきかそうでないかのフィルターもまだまだ未発達なうえに、オブラートにつつむ、という技術も習得していないため、ときにむき出しの刃となるのが子どもの言葉。ピュアさゆえ、といえばそうなのですが、その言葉を受け止めるほうも未熟なものですから、突然投げつけられたショッキングな言葉を「受け取らずに流す」選択肢などありません。
思いきり受け止めて撃沈しているゆめこに対して、自分なりに感じている事実(「ゆめこは可愛いよ。誰がなんと言っても」)を繰り返すばかりの私。
相手の子だって成長の途中です。今回たまたま傷つけられた立場がゆめこだったからといって、相手の子を悪く言うようなかたちで納得もさせたくない。どうやって伝えるのが正解なんだろう…。
その手があったか!夫の意外な返しに一同驚愕
それを見ていた夫がびっくりするようなことを言い出しました。
「ゆめこも、ゆめこを可愛くないって言った子も、どっちも可愛い」という導入には驚きましたが…たしかにそう。みんなそれぞれに持って生まれた自分の可愛らしさがあって、それはくらべて優劣をつける類のものではありません。
PROFILE よこみねさやかさん
イラストレーター。長崎県出身、1984年生まれ。2015年、第一子誕生を機に、長男「まめ(愛称)」との日常を絵日記にしてインスタグラムに投稿を開始する。2017年に長女「ゆめこ(愛称)」が誕生。著書に『まめ日記』(かんき出版)、『まめ日和』(光文社)、『ちんちんぼうずのだいぼうけん』(KADOKAWA)、電子書籍『へたのよこずき1・2』(主婦と生活社) などがある。