子どもの頃は貧困生活を過ごしたと語るアン ミカさん。モデル、タレントとして活躍する中で金銭感覚の変化や結婚、年齢を重ねた強みについて聞きました。(全5回中の4回)

お金の使い方が変わっていって

── 子どもの頃は家庭の経済状況が苦しかった時期もあったそうですが、中学生のときにモデル事務所の門をたたき、のちにモデル、タレントとしても活躍されていくと 金銭感覚やお金の使い方は変わりましたか?

 

アン ミカさん:変わりましたね。私ケチらないんです。細々と計画性を持って使うというより、誰かの「おめでとう」に使うんです。子どもの頃、お金が無くてできないことがたくさんあって、たとえば友達のお誕生日会。友達に呼ばれてもプレゼントを買うことができなかった。自分だけ手作りのクッキーを渡すのが嫌だった。そうしたコンプレックスが根本にあって、大人になって友達にプレゼントするときに、すごく高価なものをあげてしまうから、相手からドン引きされちゃうんですね。相手にも高価すぎるものを渡すとお返ししなきゃって気をつかわせるので、今は関係性を見極めて渡していますが。

 

── 誰かのお芝居やコンサートでお花を出すときも、アン ミカさんなりの考えがあるそうですね。

 

アン ミカさん:お花代も2、3万かかるし、行った方が安くつくよっていう人もいますが、行っても行けなくても、お花を贈ることが多いですね。私が送ったお花を誰かが見て、「あ、ミカさんこの人と繋がってたんだ」って思ってもらえて、誰かが一人も多くこのお芝居を観に行きたい!と思ってもらえたら嬉しいので、そこにお金の出し惜しみはしません。

 

あと、幼少期や苦労していた時代は、何かのパーティに呼ばれてもお金がなくて行けなかったとか、身なりをちゃんとしていなくて呼ばれなかったこともありました。そこは三つ子の魂100までなのかな。TPOに合わせて身なりをちゃんとしたいというのは誰よりもありますね。何かの収録でホテルに行くときも、ホテルの出入り口から誰かに見られているから、そこからちゃんとしていたい。襟のある服を着て、ヒールの靴を履いて正面から入って、道中も綺麗でいたい。その思いは人一倍あります。

お互い第一印象が良くなかったはずが

 

── ところで、モデル、タレントして活躍を続けながら、アン ミカさんが40歳のときに結婚されました。ゴルフ場での出会いがきっかけだったとか。

 

アン ミカさん:仕事の関係者との慰労会で、ゴルフをしたときに出会いました。ただ、お互い第一印象がよくなかったんです。初対面の自己紹介で、いつもより高めの声で”はじめまして“と話してたら、「君、前にテレビで観たけど、もっと声が低かったし、そんなどこかの店員さんみたいな高い声出さなくてもいいよ。ゴルフは一日長いから、無理しないでね」ってみんなの前で言われたんです。彼はありのままでいいよ、っていう意味で言ってくれたみたいですけど、私は人前で恥をかかされたって思ってしまって。ほかにも旦那さんが「おはヨーグルト」とかダジャレを返してきて、なんか噛み合わんなっていうのが第一印象でした。

 

── そこからどう印象が変わったのでしょうか?

 

アン ミカさん:ゴルフを通して1日過ごす中で、紳士的な気遣いが出来る人だと分かりました。ちゃんと話をしてみると正直な人だなと思ったし、第一印象が悪かった分、あとは上がるだけ、しかも、意外と気が合ったんですよね。そこから徐々に仲よくなっておつき合いすることになりました。

 

── 旦那さんと出会ったとき、アン ミカさんは38歳だったそうですが、結婚についてどう考えていましたか?

 

アン ミカさん:旦那さんに出会う前、30代中盤くらいまでは、私は「結婚して」って顔に書いてありそうなくらい結婚したくてしょうがなかったんです。誰かとつき合ったら手帳は白紙。あなたのために埋めていきますっていう、わかりやすいダメ子でした。結婚したいから予定を聞かれても全部相手に合わせる。この日はダメ。でもこの日だったらいいよって言える女性じゃなかったので、相手もおもしろくないでしょうし、すぐに浮気されてました。

 

いろいろな恋愛も経験して、「もう恋愛なんていいや。もう結婚なんて考えません」、そう思って覚悟を決めて大阪から東京に出て行ったんです。そしたら旦那さんと出会いました。

 

旦那さんはお兄さんが有名な映画の監督さんだったり、お母さんもハーバード大学で絵画、美術のメンターだったり、身元もちゃんとわかっていたので、前の彼のようなスパイではないとわかり、安心してつき合えました。その後、私が40歳のときに結婚。今年で結婚して13年目になりますが、今も楽しく過ごせていますね。40代も50代になった今も楽しいです。年齢を重ねるごとに楽しくなっていく気がします。