「食べたら太っちゃう」という思いから過剰な食事制限をする人もいますが、やり方を間違えると、逆に体重が増えたり、リバウンドしたりしてしまうことも…。太りにくい食べ方って本当にあるの…?そんな疑問に専門家が回答する『NHKあさイチ 家事や仕事の合間に効率よく!ラクやせ時短筋トレ』が話題です。
“食べないこと”が「やせにくい体質」につながる可能性も
食事の量や回数を減らしたにもかかわらず、「思うように体重が減らない」「逆に体重が増えてしまった」という人は、食べ方が間違っているのかもしれません。
ポイントは、食べる順番と血糖値の関係。
通常、血糖値は食後に時間をかけて上昇し、2時間以内に正常値まで戻ります。ただし、食事までの空腹時間が長かったり、一度に大量に食べたりすると、短時間で血糖値が急上昇。すると、すい臓から「インスリン」というホルモンが過剰に分泌されます。このインスリンが、エネルギーとして使用されなかった余分な糖を脂肪細胞にため込む性質を持っているため、前述のような食生活を続けていると、いくら食事制限しても、やせにくい状態になってしまいます。
重要なのは「食べる順番」
さらに極端な食事制限は、リバウンドの原因にも。体重だけでなく、筋肉も一緒に落ちているため、基礎代謝が低下してしまうのです。
「重要なのは食べる順番です」と話すのは、管理栄養士の岸村康代さん。「食物繊維が豊富なものから食べることで、食べすぎを防止。次にたんぱく質をとると、『GLP–1』というホルモンが分泌されて消化吸収がゆっくりになり、血糖値の上昇もゆるやかに。血糖値の急上昇を抑えるには、食べ始め5分、できれば10分程度は糖質をとらないこともポイントです」
空腹時に糖質をとると血糖値が急上昇
血糖値が急上昇すると、すい臓から必要以上にインスリンが分泌。インスリンは、糖を脂肪細胞に取り込むことをうながしてしまうため、太りやすい状態に。
たんぱく質を先にとると血糖値の上昇が緩やかに
たんぱく質を先に食べると、「GLP–1」というホルモンが分泌されます。消化吸収がゆっくりになり、血糖値の上昇も緩やかに。満腹中枢を刺激し、食べすぎ防止にもつながります。
誰にでもできる「太りにくい食べ方」とは
何を食べるのかはもちろん、いつ、どのように食べるのかも大切なポイント。岐阜大学医学部教授の矢部大介さんに、「太りにくい食べ順」を教えてもらいました。
❶ 食物繊維が豊富なもの
根菜類やきのこ、キャベツ、こんにゃくなど、食物繊維が豊富に含まれるものは、よく噛んで食べる必要があるため、満足感が得やすく、食事の最初に食べることで食べすぎを予防することができます。
❷ たんぱく質が豊富なもの
肉や魚介類など、たんぱく質を多く含む食材は、血糖値の上がり方が緩やか。ただし、ダイエットのためにたんぱく質の摂取量を制限しすぎると、筋肉が落ちて代謝が下がってしまい、逆にやせにくくなるため、 注意が必要。
❸ (5分経ったら)糖質が豊富なもの
ご飯やパン、麺類、いもなど、糖質が多く含まれる炭水化物は、食事の最後に。食物繊維やたんぱく質を含むものを先に食べることで、空腹状態を回避できるため、糖質のとりすぎを防ぐことができます。
また、なにげなく食べたり飲んだりしている以下の食材にも、意外と糖質が多く含まれています。
砂糖、みりん、焼肉のタレ、ケチャップなどの味の濃い調味料は、味が濃いめの料理に使われがち。食事の後半に食べると効果的です。
ビールや日本酒には糖質が多く含まれているため、本格的に飲み始めるのは食事がスタートして5分後からがおすすめです。
食べる順番を意識するだけで体は変わっていきます!ぜひ今日から意識してみてくださいね。
監修者PROFILE
矢部大介さん
岐阜大学医学部教授。糖尿病や肥満症、栄養が専門。糖尿病や肥満症の予防、 治療として注目される「食べる順番」や食習慣と薬物療法の 関係性など、食事療法を中心に臨床研究を展開。書籍『NHKあさイチ仕事や家事の合間に効率よく! ラクやせ時短筋トレ』(主婦と生活社)一部監修。
岸村康代さん
管理栄養士。メタボリックシンドローム指導の現場で健康的なダイエットのサポートをしてきた経験や野菜ソムリエ上級プロなどの資格を活 かし、商品開発、事業開発、講師、執筆などを行う。書籍『NHKあさイチ仕事や家事の合間に効率よく! ラクやせ時短筋トレ』(主婦と生活社)一部監修。
イラスト/内山弘隆