「出産も子育てにも興味がなかった」と話す浜田ブリトニーさんですが、38歳で子宮の病気を患ったとき、価値観が一変。そして、その後、出産や子育てをめぐって、パートナーとは想像のつかないような人生が回り始めます。(全5回中の3回)
子宮の病気で気づかされた渇望と38歳からの妊活
── 現在、2人のお子さんがいらっしゃる浜田さんですが、もともとは子どもを持とうとは考えていなかったそうですね。
浜田さん:そうなんです。出産も妊娠も興味がなく、産婦人科で避妊用ピルを処方してもらっていました。
でも、あるとき精密検査をしたところ「子宮頸部高度異形成」と診断されて…。医師から、あと一歩進行すると子宮頸がんになるから、すぐに手術をしないといけないと言われました。
すごくショックで…。不思議なことに、子宮の病気だとわかったとたん、「子どもがほしい」と思うようになったんです。手術は無事に成功し、2年間同棲していた彼氏のいわみん(お笑い芸人の岩見透さん)に「子どもをつくろう」という話をしました。
とはいえ、そのとき私は38歳。もう高齢出産に当たる年齢だから、妊活をしても授からないかもしれません。その不安を彼に伝えると「大丈夫だよ、何年かかってもいいから、気軽に取り組もう」と言ってくれたんです。
その言葉にホッとして、彼の赤ちゃんを産みたいと思いました。幸い、わりとスムーズに妊娠できました。ところが、病院で妊娠を伝えられ、本当に嬉しくて早く彼に教えようと帰宅すると、彼は自分の荷物を全部持って、家を出て行ったあとだったんです。
消えた彼とは電話がつながらず既読もつかない
── 突然、家出されたのですか?原因はなんだったのでしょうか?
浜田さん:彼は私が妊娠する1年くらい前からメンタルが不調で、感情や行動が不安定になるところがありました。
彼はずっと私と結婚したいと言ってくれていたのですが、私は「いつかは結婚するつもりだけど、子どもができてからでいい」と軽く考えていて…。その中途半端さが、彼を追いつめていたのかもしれません。彼が家出をしたときは、何度電話してもつながらず、LINEは既読になりませんでした。
ようやく連絡が取れ、妊娠したことを告げると喜んでくれて…。家に戻ってくれることになりました。でも、彼は感情の振り幅が大きくて、ささいな出来事でいきなり怒り出すこともあったんです。「自分なんていなくなればいいんだ」と言い出すことも…。彼が激怒するたびに、私はひたすら謝り続けるしかありませんでした。
── 妊娠中でふだんと体調も異なるなか、その状況はとてもつらいですね…。
浜田さん:ふだんの彼はとてもおだやかで優しいし、お腹の赤ちゃんの成長を楽しみにしてくれていました。だからよけいに感情が爆発したときのギャップも大きかったです。最初はなんとか彼と一緒に暮らし続けようとしましたが、だんだんつらくなってきて…。
「こんなに振り回される生活では、赤ちゃんを守れない」という気持ちが大きくなり、彼とは別れを決めて距離を置くことに。私はシングルマザーとして出産しようと決意しました。
ちょうど臨月に入ったころ、7年間、介護施設に入っていた父が亡くなりました。本当に悲しかったのですが、私の大きくなったお腹を見て喜んでくれた父の顔を思い出すと、きっと見守ってくれると思えたんです。ひとりで子育てをしないといけないから、稼がなくてはいけません。出産ギリギリまで働いていました。
出産は、想像以上に痛かったです。でも、生まれた子の顔を見たとたん痛みも忘れるほど。「産まれてきてくれてありがとう」という気持ちでいっぱいに。自営業だから産休も取らず、出産してすぐに働き始めました。
── シングルマザーでワンオペ育児、仕事もすぐ始めたのは本当に大変だったと思います。
浜田さん:シングルマザーには行政の支援もあるだろうと思いつつ、忙しすぎてちゃんと調べなかったんです。
そうしたら受け取り期限が過ぎていて、補助金などを受けそびれていたと後でわかって…。もうちょっときちんとしておけばよかったです。ワンオペ育児はすごく大変だったんですが、その状況を支えてくれたのが彼でした。
別れた夫が子育てに献身「その後、結婚するも離婚」
── 別れたいわみんさんが支えてくれたのは、どういった経緯があったのでしょうか?
浜田さん:彼は私が経営するバーで働いていたから、職場では顔を合わせていたんです。大変そうな私を見て、細やかにサポートしてくれて。
彼はものすごい子煩悩で、子どもも懐いているし、積極的に子育てしてくれました。その姿を見ていると、「シングルマザーとして頑張るつもりだったけど、父親がいてもいいな」と思いました。
子どもの力は大きくて、彼も精神的に落ち着いたんです。そこで出産から1年経った2019年に入籍しました。2021年には第二子の長男も生まれました。でも、夫と暮らしてみるとすれ違いが多くて…。2021年末に離婚することになりました。
離婚しても、彼が子どもたちの父親であることに変わりません。我ながら波乱万丈だと思いますが、子どもたちにはしっかり愛情を注ぎ、育てていきたいです。
PROFILE 浜田ブリトニーさん
はまだぶりとにー。漫画家・タレント・実業家。千葉県出身。週刊漫画雑誌『ビッグコミックスピリッツ』にて、渋谷ギャルのリアルな実態を描いた『パギャル!』を連載し、ホームレスギャル漫画家としてバラエティ番組に多数出演。2012年2月、株式会社PIECE EIGHTを設立し社長業もこなす。2児の母。
取材・文/齋田多恵 写真提供/浜田ブリトニー