モデルの小野千恵子さんにインタビュー。オランダから帰国後、サッカー選手の夫・小野伸二さんはふたたび海外へ。2人の娘さんの習い事のサポートに全力を注いだ日々ついて伺いました。

子どもが好きなことで成長し、輝くのを見るのが喜び

── オランダから帰国されてからの生活について聞かせてください。

 

小野さん:上の子が幼稚園に入る年齢になったとき、夫はもう海外へ行くことはないだろうと話していたので、夫婦で話し合って、大学付属の幼稚園を受験することにしました。

 

ところが、長女の入園が決まったあとに、夫が海外へ移籍することになったんです。また夫婦で話し合いをして、私と子どもたちは東京に残ることにしました。いまでいうワンオペ育児ですけど、女の子2人ですし、私はわりと育児を楽しめていました。次女が同じ幼稚園を受験した頃は、記憶がないくらい大変でしたけど。

 

私は、「子どもが好きなことをがんばって、成長して輝くのを見るのが喜び」と思えるタイプなんです。マネージャー気質なところは、子育てに向いているのかもしれません。

 

上の子も下の子も幼稚園を受験
上の子も下の子も幼稚園を受験

── 娘さんたちはどんなことが好きだったのですか。

 

小野さん:長女と次女は性格がぜんぜん違います。長女は小さいときからなんでもやりたがるタイプで、3歳の頃からフラダンスを習っていました。小学生のときには国内の大会にもハワイの大会にも出場して、練習もどんどん厳しくなっていきました。

 

次女は、私が「お姉ちゃんと同じフラダンスをやってくれたらいいな」と先回りして、上の子と同じスクールに入れたんです。でも、先生の前で居眠りしてしまうほど興味がなさそうだったので、すぐにやめさせて、本人のペースでやりたいことが見つかるまで待つことにしました。

 

そうしたら小学校3年生のときに本人が「やりたい」と言ってきたのがミュージカルだったんです。「じゃあ、やってみよう」とスクールを探しました。

 

2人とも自分がやりたいと言って始めたことはがんばって続けたので、親は本人がやりたいことが見つかるまで待つことが大事じゃないかなと思います。

 

フラダンスに夢中に!
フラダンスに夢中に!

── それぞれ違う習い事をサポートするのは大変そうです。

 

小野さん:次女が4年生のとき、札幌の劇団四季の舞台に立たせてもらうことになったんです。当時は夫が札幌に住んでいたので、次女は1年間札幌の学校に転校することにしました。

 

長女のフラのサポートのために私は東京に残って、札幌と東京を行き来していました。この頃は大変でしたけど、夫も私も子どもたちがやりたいことはやらせてあげたい、できるだけサポートしてあげたいと思っていて。

 

私の両親が頻繁に札幌へ行ってくれたり、一緒にフラをやっているママたちが長女の送り迎えをしてくれたり。いろいろな人が助けてくれたおかげで、乗りきることができました。

新しい目標を見つけた長女はアメリカへ留学中

── お2人ともいまもフラとミュージカルを続けているのですか。

 

小野さん:長女は小学校を卒業したあと、フラダンスに代わる新しい目標を見つけました。ジュニアの全国大会でソロとグループの両部門で優勝して、日本代表としてハワイの大会に出場したんです。それを目標にがんばってきたので、「やりきった」という思いがあったんだと思います。

 

ジュニアの大会には小学生までしか出られないので、中学生になって目標がぼやけてしまった時期がありました。「新しい目標が見つかるといいな」と思っていたら、「ミュージカルをやってみたい」と本人が言ってきたので、「じゃあ、がんばってみようか」と。

 

次女が通っていたミュージカルスクールがすばらしいところだったので、長女もそちらにお世話になることにしました。

 

ミュージカルに興味を持つように
ミュージカルに興味を持つように

フラでも歌を歌うことがあるので、舞台の上で歌って踊って表現するという意味では、それほど違うことをしているという感じではないのかもしれません。

 

長女は昨年高校を卒業して、いまはアメリカの大学に留学しています。「大学で何を勉強したい?」という話をしたときに、親としては、なんとなく大学へ進むのはもったいないと思ったので、「せっかく時間とお金をかけるなら、たとえ職業につながらなくてもいいから、自分の好きなことを勉強するのがいいんじゃない?」という考えを伝えました。

 

日本の大学には、長女がやりたいミュージカルを専門に学べる学部が少ないのですが、アメリカにはほとんどの大学に「シアター科」というところがあるんです。「じゃあ、見に行ってみよう」と一緒に現地へ見学に行ったら、本人が「ここで勉強したい」と。留学経験のある方に相談したり、現地の先生とオンラインで話したりしながら、準備を進めました。

 

自分の好きなことを極めるためにアメリカへ
自分の好きなことを極めるためにアメリカへ

── 英語は勉強されていたのですか。

 

小野さん:ハワイにいらっしゃるフラの先生から英語で指導を受けていたので、ある程度聴くことはできましたが、本格的に勉強を始めたのは留学が決まってからです。3月に高校を卒業して、6月に留学するまでの間、英語の学校に通いました。いまは向こうの大学で不自由なくやれているみたいです。自分がやりたいことのためなら勉強をするのも苦ではなくなるので、やはり本人に好きなことがあるのは大事だと思います。

 

PROFILE 小野千恵子さん

ファッションモデル、実業家。大学時代に『JJ』モデルとして活躍し、22歳で元プロサッカー選手の小野伸二さんと学生結婚後、オランダへ渡る。17年間の主婦生活を経て、40歳で『STORY』モデルとして復帰。犬と家族のブランド「LAUW(ラウー)」ディレクター。2人の娘さんは大学生と高校生。

取材・文/林優子 画像提供/小野千恵子