元プロサッカー選手の小野伸二さんの妻で、モデルであり実業家でもある小野千恵子さんにインタビュー。学生時代にモデルデビューをしたきっかけを伺いました。

大学生のときにスカウトされてモデルデビュー

── 小さい頃は、どんなお子さんでしたか。

 

小野さん:活発で元気で、いつも真っ黒に焼けていました。横須賀の山のほうで育ったので、家の近くにある山を駆け回ったり、木に登ってアケビを取って食べたり。7つ上の姉とはちょっと歳が離れているので、いつも3つ上のお兄ちゃんについて歩いて、兄の友達にも一緒に遊んでもらっていました。

 

体を動かすことが好きだったので、小学生の頃は地域のバスケットボールチームに入っていましたね。両親は、やりたいことは基本的に何でもやらせてくれました。お行儀が悪いときは叱られましたけど、怒られた記憶はあまりないですね。

 

小野伸二さんとの結婚式の様子
小野伸二さんとの結婚式の様子

── モデルを始められたきっかけは?

 

小野さん:高校生のとき、親友が「千恵子は背が高いから、モデルをやったらいい」と言ってくれて、『cawaii』という雑誌に応募したんです。そのときは読者モデルだったのですが、大学1年生のとき、表参道でオスカープロモーションの当時の社長(現会長)に声をかけられたのをきっかけに、事務所に入りました。最初は「あやしい人かもしれない」と疑ってしまって(笑)、いろんな人に名刺を見せたら「ちゃんとした事務所だよ」ということだったので、お話を聞きに行きました。

 

当初は「モデルとしてやっていきたい」とも思っていませんでしたし、なんとなく大学に入りましたけれど、将来のことは何も考えていませんでした。毎日事務所に通って、いろいろなレッスンを受けさせていただくのが楽しくて、どこか習い事感覚でした。

 

ウォーキングとか体操とか、女優さんがたくさん所属している事務所なので演技のレッスンもあって、「こんな有名なモデルさんと一緒にレッスンができるんだ!」なんて思ったりして。レッスンを受けたり、雑誌『CanCam』や『JJ』のお仕事をさせてもらったりするなかで、真剣にモデルとしてやっていきたいと思うようになりました。

両親の後押しで学生結婚を決意してオランダへ

── サッカー選手の小野伸二さんとご結婚されたきっかけをうかがってもいいですか。

 

小野さん:主人がオランダのチームへ移籍することになったことがきっかけです。18か19の頃からおつき合いをしていて、彼の海外移籍が決まったときは2人ともまだ21歳でした。私は大学生でしたし、結婚するつもりはなかったんです。でも、「やっぱり一緒に行きたい」という話になったとき、後押ししてくれたのは私の両親でした。

 

「これだけの人があなたを必要としてくれているんだから、一緒に行くべきじゃない?」と言ってくれて。オランダには知り合いもいないし、オランダ語もわからないし、不安はありましたけど、両親に背中を押してもらって決心することができました。

 

いま思うと、まだ子どもでしたね。長女はいま19歳なんですけど、親としては「2年後にそんな話になったらどうしよう」と思ってしまいます。

 

── オランダには何年いらっしゃったのですか。

 

小野さん:5年間暮らしました。行く前は不安もありましたけれど、住んでみると、自然が豊かで暮らしやすかったです。オランダ語ができなくても、ほとんどの人が英語を話せるので、それほど不便なことはありませんでした。何よりオランダ人って背が高い人が多いんです。日本では大きい私が普通に見えるのが快適でした。

 

オランダチームの家族と
オランダチームの家族と

── 海外での生活で、大変だったことはありましたか。

 

小野さん:お料理ですね。まだ学生でほとんど料理をしたことがなかったので。日本から持ってきたレシピ本を片手に作っていましたけど、食材を調達するところから苦労しました。いまは日本の食材が手に入りやすいと思いますけど、当時は小さい日本食材のお店まで車で1時間かけて買いものに行ったり、中華食材や韓国食材のお店で似たようなものを探したり…。

 

── 現地で交友関係は広がりましたか。

 

小野さん:いわゆる日本人コミュニティには入っていなかったのですが、夫のチームメイトのパートナーのなかに年齢の近い方がいて、仲よくさせてもらっていました。

 

その時に友達になった韓国人の友人とは、おたがい帰国してからもときどき会っています。彼女は日本好きが高じて日本語がペラペラになってくれたので、当時は片言の英語で話していた私たちですが、いまでは日本語で会話ができます。

 

犬を飼っていたので、近所の人との交流もありました。主人は家を空けることが多いので、向こうへ行ったばかりの頃はさみしくて。「犬を飼いたい」と数少ない友人に話したら、たまたま「産まれたばかりの子がいるよ」と紹介してもらって、ジャックラッセルテリアを迎えることができたんです。

 

犬がいるとお散歩も楽しいですし、オランダではスーパー以外はどこにでもわんちゃんと一緒に行くことができるので、行動範囲が広がってお友達も増えました。

 

犬の存在がコミュニケーションの一助に
犬の存在がコミュニケーションの一助に

 

PROFILE 小野千恵子さん

ファッションモデル、実業家。大学時代に『JJ』モデルとして活躍し、22歳で元プロサッカー選手の小野伸二さんと学生結婚後、オランダへ渡る。17年間の主婦生活を経て、40歳で『STORY』モデルとして復帰。犬と家族のブランド「LAUW(ラウー)」ディレクター。2人の娘さんは大学生と高校生。

取材・文/林優子 画像提供/小野千恵子