昆虫をモリモリ食べたことも…
── その後、2002年に芸能界デビューされました。どういうきっかけだったのでしょう?
優木さん:アナウンサー試験に落ち、「この先どうしよう…」と悩んでいたときに、生島企画室に声をかけていただき、22歳で白子のりのCMで伊東四朗さんの娘役としてデビューしました。演技力も何もないのに、たまたまオーディションで受かったものだから、ものすごく緊張したことを覚えています。
当時は、自分に何ができるかがわからず、やりたいことを必死で模索していた時期でした。「頑張るぞ!」というガッツだけはあったので、手あたり次第にオーディションを受けまくり、NHKの朝の連続テレビ小説も毎年受けていました。
そんななか、大学の友達とバンド活動をしていたときに作った曲がラジオ局で賞を取り、インディーズレーベルからCDデビューすることに。バンドのメンバーは、すでに2人とも教師になっていたので、ソロで活動を開始しました。
路上ライブをしたり、全国のCD屋さんをめぐるなど、いわゆるドサ回りをしながら歌手活動を行いつつ、オーディションを受けまくっては落ちて…の繰り返し。とにかく「いまやれることは、すべてやろう!」と、可能性がありそうなものに片っ端からチャレンジしていました。
── ガムシャラな下積み時代を経験されていたのですね。物おじしない精神は、そのときに養われたのでしょうか?
優木さん:大きいと思います。そうしたガッツが認められて、『世界ウルルン滞在記』の出演オファーをいただきました。新たなチャンスが舞い込んできたのですが、ロケ先がなんと、「昆虫を常食する村」。
番組のなかで、私も虫を食べることになったのですが、臆せずバリバリもりもりと虫を食べる姿が話題になって、雑誌のグラビアなどに呼んでもらえるようになったんです。
── 昆虫を、「おそるおそる」ではなく、もりもりバリバリ食べるとは、なんともたくましい(笑)。
優木さん:そこは、私の強みでもあると思うのですが、いったんその場に入ってしまえば、気後れすることなく、なんでもできてしまうタイプなんです。
その村では、昔から昆虫を食べることが当たり前。おじいちゃんたちもバリバリ食べている。ならば、私だって食べられるはず!と(笑)。
「郷に入れば郷に従え」精神で、割とどんな場でも合わせられるし、楽しめる。そのあたりが、マルチタレントと言われるゆえんなのかもしれませんね。
── 適応能力が高いのですね。「自分はこう」というこだわりや執着はあまり持たないタイプなのでしょうか?
優木さん:そうだと思います。「これがなくなったら生きていけないものってなんですか?」と質問されても、あまり思い浮かばないですね。むしろ、こだわりや変なプライドというものは、生きていくうえで邪魔になると思っています。
どんな場所でもすぐになじめるので、どこでも生きていけそうです。日本だと衛生的に顔をしかめてしまうような海外の場も、行ってしまえば全然へっちゃら。むしろそんな状況を楽しむ自分がいますね。
いま、子どもが2人いますが、その精神が子どもたちにも引き継がれているらしく、親子ともに割とたくましいんです(笑)。
PROFILE 優木まおみさん
1980年生まれ。佐賀県生まれ。タレント、ピラティスインストラクター。モデルやバラエティ、コメンテーターほか幅広く活躍中。2013年に結婚して現在は2児の母。
取材・文/西尾英子 写真提供/優木まおみ