2004年にデビュー。グラビア、俳優、声優など幅広い活動を続け、今年でデビュー20周年を迎えた伊藤えみさん。今回は大好きなラーメンについてお話を伺いました。(全3回中の3回)
連食はもう一度並び直すのがルール
──「日本ラーメン検定」を持っていたり、ラーメンのお仕事をされるなど、ラーメン好きで有名な伊藤さん。好きになったきっかけはありますか?
伊藤さん:ラーメンをこれほど頻繁に食べるようになったのは、芸能活動を始めてからです。撮影の現場と現場の移動などに、時間をかけずに食べることができるから、ラーメンで腹ごしらえをすることが多くて。現場ごとにいろいろなラーメンが食べられるし、地方に行けばご当地ラーメンも食べられます。
もともと、書くことが大好きなので「せっかくだし…」と思って、食べたラーメンをブログに書いていたら、ラーメン関連の仕事のオファーが来るようになりました。週に何回か行くときもあれば、連食することもあります。
──「連食」ってなんですか!?
伊藤さん:ラーメンを「連」続して「食」べることです。本来はラーメン店をハシゴすることですが、同じ店で2杯以上食べることをそう呼ぶ人もいます。もともと目当てのラーメンがあって入店したけれど、食べているうちに他のメニューも気になってもう一杯食べる場合がそうですね。ちなみに、同じ店で追加で食べたいときは、もしお客さんが並んでいればもう一度並び直すのがルールです。
── 人気店は行列ができるので、なかなか大変ですね。
伊藤さん:そうですね。実は、雪の日とか天気の悪い日に、人気のラーメン店に行くのがおすすめです。あまり人が並んでいないので、人気店でもスムーズに入れることが多いです。ラーメンフリークの人は、「こんなに日に!?」というようなときに、人気店に出没していることがありますよ。
味だけでなく歴史や想いにグッとくる
── 伊藤さんはいつもどうやって、おいしいラーメン屋を見つけるのですか?
伊藤さん:仕事柄、まわりにラーメンライブラリーみたいな人がたくさんいるんです(笑)。そういう人に連絡して最近の推しラーメンや、自分が食べたいラーメンの種類のおすすめ店を教えてもらっています。
── 伊藤さんの最近の推しラーメンが知りたいです。
伊藤さん:時期によってお気に入りは変わりますが、今この瞬間食べたいのは醤油細麺かな。新しい店よりも歴史のある昔ながらのラーメンにハマっています。
最近行って素敵だったのでは、福岡の「ふくちゃんラーメン」。とんこつラーメンで味がおいしいのはもちろんですが、お店の外に子どもからのメッセージが貼ってあったりと、お客さんといっしょに店や味をつくってきたような雰囲気がいい。人気店で、入るのに90分も待ちました(笑)。
── やっぱり長く残る老舗はドラマがありますよね。
伊藤さん:そうですね。2023年に閉店してしまった東京・荻窪の老舗「丸長 中華そば店」も忘れられないお店ですね。
店主は長引く体調不良で泣く泣く閉店を決断されたそうですが、そのお知らせと感謝の気持ちをお店のシャッターに貼ったんです。その周りに、たくさんのファンからの「ありがとう」というメモ書きが貼られたことでも話題になりました。よそでは食べられないあの一杯、まさに歴史ある名店の味でした。もう一度行きたかったなあ…。
おいしいラーメンは、もしかしたら今後、AIで作れるようになるかもしれません。でもお店の歴史とか店主の想いっていうのは機械では作れないと思うんです。そういう部分に最近はグッとくるようになりましたね。
ラーメンはコミュニケーションツールのひとつ
── 伊藤さんは「日本ラーメン検定」を持っています。高得点を弾き出したと伺いました。
伊藤さん:そうなんです!「日本ラーメン検定」はラーメンの歴史や文化を知ってもらうための検定なんですが、地域によって分かれていて。私が持っているのは関東、関西、九州のラーメンマスターの称号です。
検定を取ろうと決めてから、他の人に負けたくなくて、ガムシャラに勉強しました。そのおかげで初回にリリースされた関東編では、100点満点中96点で合格しましたが、満点じゃなかったことが悔しかったです(笑)。
検定を受けたことで知識が増え、好きなことをより情熱をもって伝えられるようになりました。ラーメンの魅力をもっとたくさんの人に広めたいですね。
── ちなみにラーメンをよく食べるのに、どうやって体型を維持しているのですか?
伊藤さん:体を動かすことは好きなので、ジムで走ったりヨガをしたりなどトレーニングをすることですね。グラビアの撮影があるときは本気で体型をつくらないといけないので、くじけないようにSNSで「トレーニングして体をつくります!」と宣言。そうすることで自分を追い込んでいます。
── すごい努力ですね。そこまでしてでも食べたいラーメンの魅力とは?
伊藤さん:おいしいのはもちろんですが、私にとってラーメンはもはや人間関係を構築できるコミュニケーションツールのひとつ。例えば舞台の練習の合間に、ラーメンをいっしょに食べに行って仲良くなることも。お酒が飲めない人と飲み会をする代わりに、ラーメンを食べに行くという感じです。以前に稽古場の近くに好きなラーメン店があるという理由で、舞台出演を決めたこともあるほどです(笑)。
文章を書くのが好きなので、今後はラーメンのコラムを書くようなお仕事もできたらうれしいですね。
PROFILE 伊藤えみさん
1983年、三重県生まれ。大学在学中の2004年にデビューし、多くのグラビア誌の表紙などを飾る。「日本ラーメン検定」に全国女性トップ成績で合格するほどのラーメン好き。プリザーブドフラワー&アートフラワーのWEBショップ「flowemir」を展開。
取材・文/酒井明子 画像提供/伊藤えみ