2004年にデビュー。グラビア、俳優、声優など幅広い活動を続け、今年でデビュー20周年を迎えた伊藤えみさん。今回は芸能界デビューのきっかけや、自身でオンラインショップも運営されているお花のお仕事について伺います。(全3回中の2回)

人と違うことがしたくて芸能界へ

── 芸能界デビューのきっかけを教えてください。

 

伊藤さん:上智大学在学時にスカウトされたことです。私は三重県出身で大学入学を機に上京したのですが、あのまま三重にいたらできなかった仕事だと思うんです。昔から目立つことや人と違うことをするのが好きだったので、「芸能界っておもしろそう!」と思って、即断即決、芸能界の世界に飛び込むことにしました。

 

幼少期。右手にカエル、左手にイモリ。当時はこんな写真ばかり
幼少期。右手にカエル、左手にイモリ。当時はこんな写真ばかり

── 最初はグラビアのお仕事が中心でしたよね?

 

伊藤さん:広告モデル、リポーター、ナレーターなどの仕事も多かったのですが、女子大生のグラビアが流行っていた時代で、水着の仕事もたくさんいただきました。とはいえ最初は「人前で水着になるなんて無理…」と思っていました。でも、やってみたら普段は見たことのない自分が見られたり、キレイにヘアメイクをしてもらえたり、海外ロケでおいしいものを食べたりできて、とても楽しかったんです。

 

親は、娘がたびたび雑誌の表紙になったりするのがうれしかったようで、グラビアふくめ私の活動を応援してくれていましたが、大学卒業で就職するだろうと思ったのか、大学3年の頃にリクルートスーツを送ってくれたんです。でも就活はしませんでした。結局、そのスーツはグラビアのコスプレで使ったのですが、親もそのような使われ方をされるとは思っていなかったと思います(笑)。

 

大学卒業。仕事と学業の両立、我ながらよく頑張った!
大学卒業。「仕事と学業の両立、我ながらよく頑張った!」

── グラビアのお仕事が合っていたんですね。

 

伊藤さん:グラビアは好きですし、なにより感謝しているんです。幅広く活動してきましたが、応援してくださる方のほとんどがグラビアで私を知ってくださったわけですから。30本ものDVDを出させてもらいました。30本というところでキリがいいので、DVDはラストにしたのですが、それ以降も写真集や雑誌の表紙などはやらせていただいています。

 

グラビア撮影のオフショット。子供の頃と変わらず、生き物と自然が大好き!
グラビア撮影のオフショット。子どもの頃と変わらず、生き物と自然が大好き!

初舞台で主演を経験「がむしゃらに突き進んだ」

── グラビアのかたわら女優のお仕事も増えていきました。お芝居の仕事をするようになったきっかけはなんですか?

 

伊藤さん:実はお芝居にもずっと興味はありました。事務所の代表のお父様が演劇界では有名な人だったため、中途半端な気持ちではやりたくないと思っていて、言い出しづらかったんです。ただ、やると決めてからはレッスンやワークショップに通って、ベースをしっかりとつくっていきました。そんなときに初舞台で主演のお話をいただき、やってみようということになったんです。

 

── 初舞台で主演はプレッシャーだったのでは?

 

伊藤さん:それが純粋に楽しむことができたんです。主演というのもあり、「自分がみんなを引っ張っていかないと」という責任感で、がむしゃらに突き進むことができました。というか、夢中でなければ達成できていなかったですね。

 

グラビアから舞台にフィールドを変えても、ファンの人たちが喜んでくれたのもうれしかったです。もちろん大変なこともありますが、カーテンコールでたくさんの拍手をもらうと、すぐにまた舞台に立ちたくなり、気がつけば40本以上の舞台に出演していました。

 

2010年初舞台の劇場オフショット。太宰治の「ヴィヨンの妻」で主演
2010年初舞台の劇場オフショット。太宰治の「ヴィヨンの妻」で主演

── 今年はデビュー20周年!挑戦してみたいことはありますか?

 

伊藤さん:性格的になかなか見切り発車ができないというか…言って達成できなかったら申し訳ないと思いがちで。だからつい慎重になりすぎてしまうのですが、節目なので思いきって言うとすれば、写真集とか形に残るものがつくれたらと思っています。最近、結婚して人生の第2章が始まったので、新しい自分を出していきたいです。

「セーラージュピター」に憧れて始めた生花

── お仕事のお話といえば、お花に関わるお仕事もされていますよね?

 

伊藤さん:プリザーブドフラワー&アートフラワーのWEBショップ「flowemir」を運営しています。実は小3から高2まで生け花を習っていて、大人になってからも友達にプリザーブドフラワーなどを作ってプレゼントをしていました。お花を仕事にする考えはなかったのですが、友達から「ショップはやらないの?」と言われて、そういえば小さい頃は花屋になりたかったことを思い出したんです。

 

昔だったら芸能活動をしながら花の仕事をするなんて考えもしませんでしたが、今はいろいろなことが並行してできる時代。作品の製作はもちろん、ホームページの運営や発送まで、すべて一人でやっています。

 

楽し過ぎて時間を忘れる花づくりタイム
楽しすぎて時間を忘れる花づくりタイム

── ずいぶんと幼い頃から生花を習っていたのですね。

 

伊藤さん:小学生の頃に「セーラームーン」が流行ったのですが、私はそのメンバーの一人「セーラージュピター」が大好きで。スポーティーなのに料理ができるっていうギャップにすごく憧れました。私もアクティブな性格だったので、なにかギャップのあるようなことができたらおもしろいのではと考え、選んだのが生花です。自分よりもだいぶ年上の祖母世代に混ざって通っていたのですが、子どもだからかみんながいつも褒めてくれてうれしかったですね。

 

お花を始めたばかりの頃、9歳の私の作品たち。教室で生けたものを家で再現
お花を始めたばかりの、9歳の頃の作品たち。教室で生けたものを家で再現

── 芸能界のお仕事をしながら大変なのでは?

 

伊藤さん:逆にいいリフレッシュになっています。以前、手術をしたときも不安をなくして気持ちを高めようとずっと作品を作っていました。とにかくお花が好きなので、お金を払ってでもやりたいくらい(笑)。今後はオーダーメイド作品をお客様に届けたり、お店とお花をコラボさせた空間プロデュースなどにも携わりたいですね。

 

PROFILE 伊藤えみさん

1983年、三重県生まれ。大学在学中の2004年にデビューし、多くのグラビア誌の表紙などを飾る。「日本ラーメン検定」に全国女性トップ成績で合格するほどのラーメン好き。プリザーブドフラワー&アートフラワーのWEBショップ「flowemir」を展開。

取材・文/酒井明子 画像提供/伊藤えみ