2015年、ミックスルーツとして初めてミス・ユニバースの日本代表に選ばれた宮本エリアナさん。現在はアメリカで二人の男の子を育てています。自宅出産を選んだ理由や、お子さんたちとの関係性、子育てのモットーについて聞きました。(全2回中2回)

「上の子にお産の様子を…」自宅出産を選んだ理由

── エリアナさんは24歳で第一子となる息子さんを出産されました。子育てとキャリアのバランスはどのように取ってきましたか?

 

エリアナさん: 実は中学生の頃から、20代前半で子どもを産んで、30代から自分のキャリアを作っていきたいなと考えていたんです。私は何でも自分でやりたい性格なので、現場に子どもを連れて行ってました。一緒に出勤して、撮影中は近くに寝転ばせておいて(笑)。

 

── 二人目のお子さんは自宅で産んだそうですね。なぜ自宅出産を選んだのでしょうか?

 

エリアナさん: ちょうどコロナ禍で立ち会い出産ができない時期だったんです。でも、どうしても上の子に出産の様子を見せたいと思っていて。幼いうちから「女の人はこんなに大変なんだぞ」っていうのを教えたかったんです(笑)。昔の女性たちの医療に頼らないお産を体験してみたいなという気持ちもありました。

 

次男を自宅で出産したエリアナさん。長男に「お産を見せてあげたい」との思いがあったのだそう

── 昔の産婆さんのように、地域で活動する助産師を探すのはひと苦労だったのでは…?

 

エリアナさん: そうなんです。最初は全然見つからなかったのですが、少し遠いところに住んでいる方が引き受けてくださって。基本的にはその産婆さんにチェックしてもらって、大事な検査のときだけ病院に行きました。

 

── 出産当日はどんな流れだったのでしょう?

 

エリアナさん: 夜中の12時ごろに陣痛が始まったので連絡して来てもらって。ずっと寝ずに私の身体をさすってくれて、病院だとそこまで手厚くないので温かいなって思いました。

 

上の子は起きたら私が産気づいていて「ポカーン」ってしていましたね。でも、赤ちゃんが生まれたらすぐに寄ってきて、「ママは動かなくていいよ」っていろいろケアしてくれました。不安そうな顔をしていましたが、何かしら感じ取ってくれたと思うのでよかったなあと。

「大人になってから国籍を選べるように」アメリカに移住した背景

── 昨年秋からお子さんと一緒にアメリカで暮らしているそうですね。

エリアナさん:実は2022年に離婚したのですが、子どもたちにアメリカ国籍も持たせてあげたいなと思ったんです。日本では二重国籍は認められていませんが、成人してから自分で国籍を選べるようにしてあげたかったんです。

 

── お子さんたちはアメリカの文化に馴染めていますか?

 

エリアナさん: 5歳の長男はキンダーガーデンに通っていますが、まだ環境に慣れようと頑張っている最中なのかな。2歳の次男は生まれたときから英語で話しかけていたので適応が早かったですね。長男も3歳くらいまでは英語で育てていたのですが、YouTubeを見るようになってから日本語に変わっちゃいました(笑)。

 

現在はアメリカで暮らしているエリアナさん。まるで映画のワンシーンのよう…!

── エリアナさんがお仕事のとき、お子さんたちはどのように過ごしているのでしょう?

 

エリアナさん: たとえばドラマの『フェンス』のロケは沖縄だったので、その間は大阪のホームステイを受け入れているお家に預けていました。数日間は寂しがっていましたが、その後は楽しんでいたみたいで、迎えに行ったときには関西弁になっていましたね(笑)。

 

ずっと私にべったりというより、小さいうちからいろんな人たちと関わるほうがよい経験になると思っているので、仕事中はあえて誰かに託すようにしているんです。

子育てのモットーは、お互いの「自由」を尊重すること

── エリアナさんの子育てのモットーはありますか?

 

エリアナさん:「自由が一番」かもしれません。子どもたちの自由もそうですが、私もひとりの人間だから「自由に生きるよ」って伝えています。面白いのが離婚してすぐの頃、長男が「マミーは次いつ彼氏ができるの?」って聞いてきて(笑)。私自身も離婚して落ち込むことはなかったのですが、長男もあっけらかんとしていて、それはそれでたくましく育ってくれているのかなと思います。

 

「何事にもチャレンジする母親像でありたい」と語るエリアナさん。ナチュラルな笑顔が魅力的です

── お子さんたちにはこれからどんな姿を見せていきたいですか?

 

エリアナさん: 暗くない母親でいたいというか、常に明るい姿を見せていきたいですね。新しくパートナーができても紹介していますし、子どもたちにはすべてオープンに見せるようにしています。何事にもチャレンジするような母親像でありたいですし、子どもたちもポジティブな人間に育ってほしいですね。

 

── チャレンジといえば、昨年春にはWOWOW連続ドラマW『フェンス』に主演で女優デビューを果たしましたね。これからチャレンジしてみたい仕事はありますか?

 

エリアナさん: 私が演じた桜はブラックミックスの役だったのですが、幼い頃に祖母に育てられていたという背景なども含めて「私のことを書いたのかな」と思うくらい近い感覚がありました。そういう面でも過去の経験が活かせるのかもしれません。次はアメリカでも演技のお仕事にチャレンジしてみたいなって思っています。

 

PROFILE 宮本エリアナさん

1994年生まれ。長崎県佐世保市出身。日本人の母とアフリカ系アメリカ人の父を持つ。2015年ミス・ユニバース日本代表に選出され、世界大会ではトップ10に入賞した。18年に第一子、21年に第二子を出産し、二人の男の子の母。23年、WOWOW連続ドラマW『フェンス』にて主演で女優デビュー。現在はアメリカ在住。

 

取材・文/荘司結有 写真提供/宮本エリアナ